233話 6月13日#03−6月14日#01
ソラは、驚異的な速さで山を駆け抜け、日が暮れる頃には、砂漠まであと3分の1くらいのところまで到着していた。
ずっとピエール号の船長室に置いてあったジャイロコンパスを利用して直線的に移動し、かつ、移動距離を測定する魔巧機械|(テンがなぜか持ってた)で距離を測っていたので、どの方向にどれくらいの距離を移動したのか、おおよその位置を割り出すことができた。
俺とテンがテントの準備をしている間に、リアとソラは、地図を見ながら位置の確認をしていた。
「……あんた、ちょっと張り切りすぎじゃない?いくら体力オバケでも、この速さで移動してたら……」
「えっと……確かに、ちょっと頑張り過ぎた、かも……」
ソラがそんなことを言ったので、早めに食事がとれるよう、すぐにピエールキッチンが出動した。
『レイさん。火おこしが終わったら、早速料理を手伝ってくださーい』
「……はーい」
キャンプの片隅で燃える火を見て、俺はレイが火力調節を上手くできるようになっていることに気づいた。
「レイも、少し成長したのかな……?」
夜の見張り番は、ソラを休ませるため、レイとテン、それから俺とリアのペアで、時間を半々に分けた。テンがレイと一緒に組みたがることを止める気は、もう全くなくなった。
翌日も、ソラは猛進し続けた。
そして夜の6時くらいになって、とうとう山道を抜けることができた。
「ソラちゃん、マラソンランナーになったら絶対強いよね」
テンのその感想に、リアが同意した。
「そうよね。転職する時に、考えてみるといいわよ」
「……そうする。忘れなかったら……」
『いやホント、お疲れ様です!』ピエール33世が青色に光っていた。『明日からはワタクシが人力車になってあなたを乗せ、それをカイトさんが牽いていきますので、ソラさんはゆっくりしてていいですよ〜!』
「……何それ。聞いてないんだけど」
それを聞いたリアとテンが、くすくす笑い始めた。
ソラが、俺たち全員を地面に下ろし、ゴーレムをしまうと、ピエール33世がこう言った。
『このあたりから『ユスティティア集落』までは少し長く歩きます。早朝から歩き始めたいので、今日は早めに寝ましょう!』
「「「「おー!!!!」」」」
「……あ、ちょっと待った」少し高く飛んでいたレイが、下に降りてきた。「何か来る」
しばらく待っていると、やがて「ブーン」という音が聞こえてきた。結構大きな音だ。
その音の聞こえる方を振り向くと、夕闇の中を、2つの明るい光がこちらへ向かって来ていた。光の周りにいくつかの、人ではない何かの影が見える。
やがて見えてきたのは、犬ぞり、ならぬ……
「虫……ぞり……?」
「うううううっ!」テンが、顔を引きつらせて後ずさった。
大きめの『虫ぞり』を、数頭のコガネムシみたいな昆虫|(ただし、馬並みにデカい)が、飛びながら牽いている。
『虫ぞり』は、幌馬車のように布がかかっていて、前に御者台がついていた。
一方昆虫の方は、翅を大きく広げて、低空飛行していた……あれ?何かこのムシ、どこかで見たような……?
『虫ぞり』は、俺たちの前まで来るとピタッと止まった。
ホントこの話、虫がいっぱい出てきますね!
苦手な人は、ごめんなさい。




