232話 6月13日#02
その後、全員が入れそうな大きさで、かつ丈夫なテントを、登山用具の店で買った。
俺たちは、名残惜しくも感じながら、長く滞在していたプルートーを出発した。
「……じゃあみんな、乗って……!」
ソラのゴーレムが山歩きを始め、その中にいる俺たち4人+1体はおしゃべりをしていた。
「あとどれくらいでこの旅は終わるんだろうね」と、テンはつぶやいた。
「リミットは、あと半月くらいかしら?」リアは顎に手を当てて言った。
「……俺抜きで、旅を続けてもいいんだぞ?」
俺がそう言うと、全員が反対した。
『『まとめ役』がいなくなったら、ワタクシたち、とてもじゃないけど旅を続けられません!』ピエール33世は、うっすらと赤く光った。
「君がいてこその僕らじゃない!」テンもそう言って、俺に不満そうな顔を向けた。「君は僕たちの『大黒柱』なんだから、ちゃんとそこは自覚して」
「……カイトがいないと、『脳筋』がいなくなる」
「意味わかんないこと言わないでよ、アリエス!」
「あー。わかった!最後までやるよ!」
俺は苦笑いをしながら、全員にメモを渡した。
「それ、『月の神の力を復活させる文章』の翻訳メモ。テンほど字が上手くなくてすまんが」
「十分読めるわ」リアは、早速メモを自分用に小さくしていた。「あたし、てっきり『ミミズののたくったような字』を書くのかと思ってた」
「……お前、見た目と印象で、人のこと勝手に評価しすぎだろ」
「神殿で、全部の石を置いて、この文章を声に出して読めばいいわけだね?」
テンが訊ねると、ピエール33世はこくんと頷くような動作をした。
『ええ。シンプルでしょ?』
「うーむ」レイは首を傾げて、考え込んでいた。「それで月の神の『成虫』の姿が見られるんだろ?意外と想像しにくいな」
「……僕でも見られるやつだといいんだけど」
テンは苦笑いをした。
『大丈夫ですよ!そこは保証します!』と、ピエール33世は言った。『みなさんが見惚れるくらい美しい……はずです、たぶん!』
「それ、『保証』してなくね?」
俺は思わずくすっと笑い声を出した。
『……あー、そうそう。追加情報ですが、』ピエール33世の光がオレンジ色に変わった。『成虫のワタクシは、太陽の神と同じくらい強いです!』
「……まあ、そうよね」
「長年喧嘩して勝敗がついてねえんだから、それは当たり前だろ」
『ええ……ですが!みなさんがいてくださるので!ワタクシはみなさんの分、太陽の神より強いです!!』
それを聞いて、今度は俺たち全員がくすくす笑い始めた。
「そりゃ、当たり前だろ!」
「僕たち、最強メンバーが揃っているんだから!」
「……あんな『烏合の衆』なんて、みんな吹き飛ばしちゃうわよ♡」
「私が全部燃やすから、大丈夫!」
『みなさんのお言葉……とても心強いです!』
俺たちがそんな話をしていると、ソラの声が聞こえてきた。
「あたしも頑張る……月の神を、元の姿に戻してあげたい……!!」
『ソラさんも、頼りにしてますよ!』
ピエール33世は、嬉しそうにピンク色に光った。




