230話 6月12日#07
「さて、残る問題は……『砂漠をどう攻略するか』だな……」
俺は、ぼそりとつぶやいた。
「そうね……」リアは、前に向き直った。「そもそもどこから情報が得られるのか……」
「うーん……」
――いや。いっそのこと行ってから考えてもいいのかもしれない。砂漠の街なら、砂漠について情報が得られるだろうし。
「……それは、どうなんだろう……?」ソラは首を傾げた。「砂漠の玄関口『ウルカヌス』まで、結構歩くから……」
「『歩く』って、飛空艇では行けないの?」
リアが訊ねると、ピエール33世は『えーっと……』と、言葉を詰まらせた。
『ワタクシ、暑いのが苦手でして……昼間の砂漠にいるのは、ちょっとムリそうです……』
――意外と限界点が低かった。
「しょうがないわね!」リアは、今度はソラに訊ねた。「レオ、あんたのゴーレムはどうなのよ?」
「関節に砂が入る……すぐ、動かなくなる……」
「ええ!?……あれ、あんたの『武器』なんでしょ!?」
「普段はしまえばすぐ取れる……砂漠は、砂の量が多すぎて、ムリ……」
「はあ!?」
ここに来て、まさかの徒歩……!?
「ラクダに乗れば……?」
「あたしたち、急いでるんでしょ?生き物の移動をアテにしてたら、カイトの試合までに間に合わないじゃない!」
「……そうだな」
――と、その時、レイがドヤ顔をして、何かの本を見せてきた。
「ジャーン……『砂漠の歩き方』!」
確かに、表紙にそう書いてある。
「……それは?」
「私の蔵書」
「……確かに、今のあたしたちに必要な本っぽいけど、何であんたが持ってるのよ?」
リアは、眉間にしわが寄っていた。
「私が道に迷って砂漠に出ても、大丈夫なように!」
「お前なら、やりかねないな」
俺はレイから本を受け取り、中のページをぱらぱらめくった。
「れ、レイさん……」テンは、隣にいるレイに訊ねた。「なぜ、前に砂漠の話をした時に、その本のこと言わなかったの?」
「……忘れてたっ!」レイは、なぜか胸を張った。
「ふーん。必要な装備、生息するモンスター、あとは……『バグボート』?」
俺は、首を傾げた。
「砂漠専用の乗り物だ。水に弱いが、スピードは飛空艇より速い」
「へー!こんな乗り物が、この世にあるのね……!」リアは、感心してそう言った。
「しかも、『バグボート』ってレンタルできるんだ!これに乗るか……?」
「……あ、カイト君」テンが、真顔で訊ねた。「それ、僕が乗っても大丈夫なやつ……?」
「んー、こんな乗り物らしいんだが」
本には、セピア色の乗り物の写真が載っていた。
『バグボート』は、『小舟』のような形をした、1人用の空を飛ぶ乗り物で、前に窓、上に屋根、そして両脇に2対の、昆虫の翅のような翼がついていた。
どうやら搭乗者の魔力が動力で、速さや高さ、方向も自在に変えることができるらしい。よくわからんが、『翼の下部についている4つのブースターの噴出量や方向を変えることで、機体のバランスを調節する』らしい。
その『4つのブースター』の見た目が、何となく昆虫の脚に似ていた。
「……ど、どう……?」
「……何かちょっと、虫っぽすぎない?」
テンは、うーんと考え込んだ。
「乗り物だし、ぎりぎり……大丈夫、かな……?」




