226話 6月12日#03
その午後。
俺たちは、待ち合わせ場所の公園へやって来ていた。
何気ない会話をしていると、こちらへ歩いてくる女性を発見した。
「わざわざ時間をとっていただいてありがとうございます」
「いえ、あの……すみません。こちらの方以外、顔を覚えてなくて……」
女性は、ちらりとテンの顔を見た。
「ああ。大丈夫です」俺は手を差し出した。「俺、カイトといいます」
「あ、あの、私、マユと申します」女性はそう言って、俺と握手した。「改めまして、この前はありがとうございました」
「あたし、ソラ……」ソラはベンチに腰掛け、自分の隣を指さした。「ここに座って……」
女性が座ると、テンが帽子を取ってお辞儀した。
「僕はテンです。あなたが無事で、本当によかったです」
――その後、少しの間みんなが沈黙した。
「……レイ?」俺はレイに声をかけた。
「……あ、すまん」レイは、読んでいた本を閉じた。「私はレイ。よろしく」
「あの、本当に何というか、」マユさんは、また涙ぐんでいる。「みなさんのご厚意を、拒否してしまって……」
「……だから、気にしないで」
テンは、ニコッと笑った。
――さて、どうしようか。
聞きたいことは、山ほどある。
「えっと……」俺はテンの方を見た。「まず何から訊こう?」
「一番大切なところからでいいんじゃない?」
そう言ってテンは、指で丸を作った。
「このくらいの、宝石みたいな変わった石を、城の中で見たことがありませんか?」
「宝石というか、魔法石って感じなんですけど」
俺がそう付け加えると、マユさんは顎に手を当てて考え込んだ。
「そういえば、そんな感じのものを見つけた子がいて、その子から聞いたことあります……わりと詳しく……」
「あの……」ソラが遠慮がちに言った。「その石が、今どこにあるか、知ってる……?」
「えっと、2階に、スカーレットが女の子たちから奪った物を箱に詰めて収納していた部屋があるんですけど、その部屋にある金庫の中に、その石はありました……」
――また、妙なところに隠すなあ。
「他の、貴金属を持っていた子から奪った金目のものと一緒に、不自然な石が入っていたそうです」
「金庫か……」俺は頭を掻いた。「モノを手に入れても、鍵がないと中の物を取り出せないな」
「……燃やせば?」
「金庫に魔法がかかってたら危ないから、やめなよ」
「……でも、もしかしたら警察が没収、しているんじゃ……?」
「隠されてあるらしいので、まだ城にあるかもしれません」マユさんはそう言った。「……あと、見つけた子が言うには、金庫は触っただけで開いたそうです」
「…………え?」
――何それ?
「……それ。金庫としては、変……」
「私も不思議に思いました」
「あの、実は僕たち、その石を探してるんです」と、テンが説明した。「理由はちょっと、ここでは説明できないんですけど、僕たち的には結構重要なものなんです」
「でも、警察や軍は俺たちには協力的とは言えなくて。トラブルを回避しつつ、その石を手に入れたいんです」
「そうですか……」
事情をわかってもらえのたかどうか不安に思ったが、マユさんはしばらく考えていた。
「あの……警察から不審に思われずに、その『石』を手に入れたい、ということですよね?」
そこでマユさんは顔を上げ、はっきりとこう言った。
「もしかしたらお力添えになれるかもしれません。ちょっとやってみましょう!」
――お!?




