225話 6月12日#02
その後、店員は仕事に戻っていった。俺たちは、ソラに事情を説明しながら食事を再開した。
「いやー、まさかここの店員だったとはねー」リアは、パンくずをスープに浮かべながら言った。
「大変な思いしたのに、もう働いてるんだね……」
「そうだよなー」
『そういえばあの時、ワタクシちょっと見てましたが、レイさんも含めて、あそこにいた女性たちだけが倒れていた気がします』と、ピエール33世は言った。
「そういう変な薬があるんだよ」テンは首を傾げた。「で、あのお姉さんたちは、あの後どうしたの?」
『……放置されてました』
「ひどっ!」
『その後は、レイさんを守るのに必死だったので、ワタクシも見ていません……』
何だか、思い出すだけで胃がムカムカするんだが。
「……何か、あたしがいない間に……そんなことが起こってたなんて……」
「……あー。詳しく話してなかった俺が悪い」
俺がそう言うと、ソラは首を振った。
「あたし、何もできなくて……ごめんなさい……」
「ソラが謝ることじゃないと思うんだが」
その時レイが、「あ」と声を上げた。
「さっきの人に、城と『石』について、訊いてみれば?」
『「「「「あ」」」」』
――何となく、突破口が開けそうな気がした。
店員に訊くと、仕事は昼過ぎに終わるらしい。俺たちが「訊いてみたいことがあるから、仕事が終わってから会いたい」と言ったところ、彼女から了承を得ることができた。
――さて。それまで何してよっか。
「……あたし、思ったんだけど、」と、リアが口を開いた。「あいつのこと、新聞に載ってないかしら?」
「そうだね」テンはあたりを見渡した。「どこかで売ってないかな?」
探してみると、大通りにあった雑貨屋で新聞を売っていた。
早速買って、みんなで覗き込む。
「……やっぱり、大きなニュースになってる」
「まあ、『売れっ子』だったわけだし」
「やってたことが、かなりひどかったし」
――だが、新聞に書いてあった内容は、俺たちが知っていることと、ほとんど変わりがなかった。
「本人が失踪したから、仕方がないか……」
「でも、『家宅捜査』されてるね……」テンは記事を見つめた。「この記事によると、家にはほとんど帰ってなかったみたいだね……」
「『違法薬物の所持』……アレ以外にも、いろいろ持ってたんだな」
「つくづく、救いようのない奴」
俺たちは、広場に出た。日なたが暑いので、人が少ない日陰を探しながら歩いていた。
『ともあれ、何と言いますか、』
ピエール33世は、オレンジ色に光った。
『被害者の方が、1人でも多く無事でよかったです。ワタクシたちの力で、レイさん以外の方も救えたということですから』
――ピエール33世の言うとおりだ。他の目的があったにしろ、それが人助けにつながったのだから。
『一件落着です!』
あとは、『石』を手に入れるだけだ。




