222話 6月10日#06−6月11日#01
その日の夕方。俺たちは肉も、ハーブや野菜、山菜なども手に入れ、いくつか料理を作ることになった。
その中で模擬戦について話したら、みんな興味を示してくれた。
「いいわね!」と、リアは言った。「カイトに対する日頃の鬱憤を晴らすことができるわ!」
「……殴るぞ、お前」
「でも、いい案だと思う……」ソラはリンゴの皮を剥きながら言った。「あたしも、協力する……」
「……じゃ、今夜は私と戦おう!」レイは相変わらず気が早い。
「……絶対火の魔法を使うなよ!」俺は念を押した。「お前、絶対手加減できないから!」
『……あ、みなさん。喜ぶのはいいですが、疲れない程度にしましょうね』ピエールキッチンのトーンは、少し心配そうだった。
「ねえねえ」テンがみんなに呼びかけた。「お肉、焼けたみたいだよ!」
「え?どれどれ……」リアは飛び上がって喜んだ。「あら、美味しそう♪」
キッチン全体を、美味そうな肉の香りが包みこんだ。
――この日の夕飯は、ものすごく楽しかった。
料理は美味かったし。
リアが、誤ってジュースの入ったカップの中に落ち、ひどくショックを受けていたのをいじるのも楽しかったし。
テンがレイとの会話の中で、顔を真っ赤にして照れていたのを見るのも面白かったし。
テンの花火を打ち上げるのも楽しかったし。
なぜか怪談話をすることになって、ソラの話がマジで怖くて面白かったし。
――そしてその後、
「じゃ!カイト君対レイさんの模擬戦やるよー!」
テンの掛け声で、俺はレイと向かい合った。
「……あ、あのー」とレイは言った。「私、走るの苦手だから、ちょっと飛んでいい?高く飛んだりはしないから」
「別にいいけど」
――どうせ、剣を持つのにも魔法使ってるんだし。
「じゃあ!」今度はテンが審判役だ。「よーい、始め!」
翌日。
俺は朝食を食べながら、昨日のレイとの試合を思い出していた。
「うーん……剣士との戦いは慣れていると思ってたが、レイのほど大きな剣を使う剣士と戦ったことはなかったからなあ……」
――また、負けていた。
レイの武器は重すぎて、斬りつけられたときに剣で受け止めきれなかった。
しかもレイの剣は大きさがデカいので、剣を盾のように使って攻撃を防がれてしまった。
いつもレイの戦闘を見ているので、そのあたりのことはわかっていたつもりだったが、やはり実際に対戦すると上手く対応できないものである。
「あー」レイはパンを飲み込んでから言った。「私の剣は普通の剣士が使えるような大きさじゃないから、ちょっと参考にはならなかったかもな」
「いや、それが……」俺は腕を組んだ。「100キロ近くの重さの剣を使う剣士は、実際いるんだよ。あと、デカい盾と槍で戦う人とか」
『えー!それはすごいですね!』ピエール33世は白く光った。
「あと、リアほどじゃないにしろ、5、6本同時に矢を放つアーチャーとか」
「僕たちから学ぶ点が、いっぱいあるね」テンはコーヒーに砂糖を入れながら言った。
――ちなみに関係ない話だが、テンは甘党らしく、いつもコーヒーに角砂糖を3つくらい入れて飲んでいる。
「午前の休みの時……あたしと戦う……?」
ソラが、俺の顔を窺うように見た。
「まあ……ソラの体力が無限であることはわかったし、ソラがいいなら……」
みんなでわいわいパーティーをやっているシーンは、書いていてすごく明るい気分になりました。カイトたちの心の絆が強くなっているのを体感できて、大好きなシーンです。




