219話 6月10日#03
話し合いの結果、男女でチームに分かれ、男子チーム|(+ピエール33世)が狩りを、女子チーム|(+リア)がハーブや山菜を探すことになった。
「狩りなら、私が見つけて燃やせば早い」
――と主張するレイを止めるのは、ちょっと大変だった。
『……で、『ワールウィンドヘア』についてなんですが、』と、ピエール33世が説明した。『こういう岩場の陰に隠れていることが多いです』
「どうしたらいいんだろうね?」
「……というか、テン、」俺はテンの方を見た。「お前、狩りとかしたことないのか?」
「あるわけないじゃん」
「……じゃあ、出会った時、森で何やってたんだ?」
「……特訓」
「森に籠もって何かやってたわけじゃないのか?」
「サンドイッチ持ってたじゃん」
――うーむ。何やってたんだか全然わからん。
『とにかく、お二人の弓矢や銃を使えば、狩るのはそんなに難しくないはずです――ただ、問題は……』
ピエール33世の声のトーンが下がった。
『『ワールウィンドヘア』に気づかれずに、どうやって射程距離内に入るか、ですね』
「やっぱり、慎重にそっと近づかなきゃいけないんだよね?」
『それが、難しいんですよね』ピエール33世は緑色に光っている。『『ワールウィンドヘア』は耳と鼻が利きます。目標に気づかれないようにするのはもちろん、当たったとしても一撃で倒さないと、逃げられてしまう可能性があります。『つむじ風』の名のとおり、めっちゃ逃げ足速いですから』
「……そうか」テンも何やら考え込んでいる。「鼻もいいなら、風下側から近づかないとダメだよね」
「で、音も立てずに近づいて……」俺はピエール33世の方を見た。「こういう時用の便利グッズは何かないのか?」
『『グッズ』はないですけど、』ピエール33世が、今度はピンク色に光った。『ワタクシの力で、お二人の『気配』を消すことはできます。音もにおいも減らして、気づかれにくくなるはずです』
「……じゃあ、それお願い」
その後、俺たちは1匹の『ワールウィンドヘア』を見つけた。
思ったより、耳が短い。一見するとネズミと間違えそうだ。
そして大きさは、七面鳥くらいあった。5人の腹を満たすには、十分そうだ。
現在、俺たちと『ワールウィンドヘア』は、かなり遠くに離れたところにいた。岩場でなかったら、絶対見つけられなかった。
風下側から、ゆっくりと近づいていく。
――ピエール33世の魔法のおかげか、『ワールウィンドヘア』は、なかなかこちらに気づかなかった。
しかし、30メートルくらいまで近づいた時、『ワールウィンドヘア』は頭を上げ、周囲を警戒し始めた。
テンが銃を構える。
――ズダン!!
その結果。
「……外しちゃったね」テンは、あははと笑った。
「お前なら当てられるかと思ったのに」
「僕の銃、銃身が短いから、あんまり遠くの相手に当てるのには向かないんだよね」
「あー」俺は、納得した。
『もしかすると、カイトさんの弓矢の方が精度が高いかもしれませんね。『ワールウィンドヘア』は目が悪いので、姿が多少見えても気づかないかもしれませんし』
「じゃあ、ちょっと練習させてくれ」と、俺は言った。「テンも、ちょっとやってみないか?」
「おっけー!」
レイ:何で私が狩るのがダメなんだ?
カイト:お前、獲物を炭にするつもりか。
レイ:ちゃんと火加減を調節して、いい感じに焼いてやる。狩猟と調理、両方できて一石二鳥じゃないか!
ピエール33世:毛皮や血や内臓を取り除かないと、食べられませんよ……?
カイト:あと、レイの火加減調節は、信用ならん。
レイ:うー……
ソラ:そういえば、リア……
カイト:確かにリアの矢の方が、俺のより精度よさそうだよな。
リア:あ、あたしにそんな野蛮なことをさせるつもり!?『野菜男』じゃあるまいし!
テン:僕、一応紳士的なキャラで通してるんだけど……
リア:とにかく、イヤ。あたしはレオたちとハーブ摘みに行く!
レイ:私が出れば、『ウサギ』に逃げられても、逃げ道を燃やせるから問題ない!
カイト:あー、もう!誰かどうにかしてくれ!




