217話 6月10日#01
翌朝。
朝食を食べ終えた俺たちは、村の人、特にソラの祖母と父親に礼を言った。
「また機会があったら、遊びにおいで」
「ソラも、気をつけて頑張りな」
「うん……おばあちゃん、お父さん、ありがとう……!」
「それじゃ、さようなら」
『「「「さようなら!!!」」」』
何だか寂しい感じもしたが、俺たちはソラのゴーレムに乗り、プルートーに向けて出発した。
「ほお。こんなところに人が乗れる場所が……」
レイは初めてゴーレムに乗り、興味津々だった。
「レイさんと一緒だと、またちょっと雰囲気が変わるよね」
「そうね。特にテンがね」
リアはそう言って、テンをからかった。
――さて、ソラのゴーレムは、すでに走り始めていた。
「やー。ソラちゃんの故郷。いいところだったねえ」
「いろいろ思い出ができたし、楽しかったわよね♪」
「また来てみたいよな。特にソラはまた帰りたいだろうし」
ふと、レイはこんなことを口にした。
「人間の家族がいるって、こんな感じなんだな」
「あたしの家族とは大違いよ!」リアはぷんすか怒った。
「俺も孤児だから、こういう感じはあまり経験がなかったけど……」
俺はちらっとテンの顔を見た。
「テンの場合はどうなんだ?子どもの頃とか家族は……」
――テンの顔が凍りついた。
「あ、あんまり言いたくないならいいんだけど……」
「……うーん、全く言わないのも変だから言うけど」
テンは口を開いた。
「あまり、その、子どもが成長するのに適した環境ではなかったんだよね」
――うーむ。これはもっと深掘りしても大丈夫なのかどうか……
「それって、具体的にどういう環境?」
――もうちょっと考えてから発言しろ、レイ。
「まあ、ちょっとずつ話すけどね」テンは悲しそうな笑顔を浮かべた。「愛情とか心の支えとか夢とか希望とか……そういうのが全くない世界で暮らしていたから……」
しかし、テンはすぐに、ニコッと明るい笑顔に変わった。
「今は違うかな。みんながいるし。何か……勝手にくっついてきて言うのもなんだけど……僕に今みたいな明るい人生をくれたみんなには感謝しているよ!」
「……そうか。ならよかった」
プルートーに来てから、テンは結構変わった気がする。俺たちにテン自身のことをいろいろ話してくれたし、レイとは充実した時間を過ごしたらしいし、何より好きな人のことで、怒ったり悲しんだり喜んだりするようになった。
明らかに、他の誰と話す時よりも、レイと話しているときの方が楽しそうだ。今も、レイに何かを言われて、こらえきれず「ふふふ」と笑っている。
こんなにはっきりと特別扱いされているんだから、レイにはもうちょっと、テンの気持ちに気づいてあげてほしいのだが。




