208話 6月4日〜レイとテンの会話①〜
〜177話のレイとテンの会話〜
天文台へ向かう前の話なんだけど、前日にカイト君から聞いた話が気になっててね――ほら、やっぱりカイト君とレイさんの間柄って、気になるじゃない。
僕は勇気を出して、レイさんに訊いてみたんだけど……
「あ、ねえねえ、レイさん」
と、僕が呼ぶと、レイさんはこちらを振り向いた。
「単刀直入に訊いちゃうけど、君ってカイト君のこと、どう思ってるの?」
「……『脳筋』」
――いや、そうじゃなくて。
「カイト君、優しいししっかりしてるし、結構頼りがいがあるじゃない?」
「ん〜。まあ、味方にいれば心強いかもな」
「そうだよね」それは僕も認める。「でも何となく、もっと仲良くなりたいとか思っているのかなー、なんて僕は思ってて……」
――あれ?この言い方だと、僕がカイト君を推してるみたい。
何かもっといい聞き方できないのかな、僕……
「『もっと仲良く』?」レイさんは首を傾げた。「私とカイトって、仲良かったっけ?」
――自覚なかった。
「……でもまあ、仲間だからな!仲は悪くはないな!」
「そ、そうだねー……」
――訊いた僕がバカだったかも。
別の訊き方にしよう。
「実は昨日ね。カイト君から、君と初めて出会った時の話を聞いたんだけど……君、カイト君の家に押しかけたんだって?」
「そうだな」
――それ、やっぱり事実なんだ……
「何でそんなことしたのかなーって、気になったんだけど」
「……月の神が落ちてきた時、たまたまそこにいたから」レイさんはうーんと考えていた。「私、金も食料も持ってなかったし、月の神を抱えてたからな。カイトは普通に『石』を返そうとしていたし……」
それから、レイさんは胸を張った。
「……直感で、私たちを助けてくれると思ったから!」
――直感……ですか。
「まあ、2回泊めてくれたし、旅に連れていってもいい奴だろうなあって思った。本人もやる気あったし」
――ん、んん?んんんん?
「に、2回?」
「うむ」レイさんは不思議そうに言った。「それがどうした?」
「き、君……見知らぬ男性の家に2回も押しかけたの?」
「うむ」
――ちょっと待って。
「そ、それ危なくない?」
「……何で?」
「いや。相手がカイト君だったからよかったけど……もし悪い奴で、君に好き勝手する奴だったりしたら……」
「……燃やせばいい」
――え?
「それに、カイトは大丈夫な奴だから、大丈夫!」
「えっと……」
「『脳筋』だけど、理解力はある!」
「んー……」
「だから、大丈夫っ!」
――これは、僕がしっかりしないといけないやつだ。
「でも、そういうところがかわいいんだよなー……」
「ん?何か言ったか?」
「あ!何でもないよ!」
――もう、気にしないことにしよう。
僕はそう決めて、『レイさんはカイト君のことが好き説』を捨てることにした。




