207話 6月8日#12
しばらくすると、さすがにみんな疲れていたので、全員で部屋のクッションに埋もれて、仲良く眠ってしまった。
夜になり俺たちが起き上がると、ソラの祖母が外に出るよう勧めてきた。
そこには、満天の星空があった。以前からちょくちょく星空を眺める機会があったが、こんなに明るく色とりどりで、数えきれないほどの星に取り囲まれるなんてことは、今までなかった。
「み、見て……!」テンが1つの星を指さした。「あれ、前にレイさんが教えてくれた『スピカ』だよね!?」
「あっちにあるの、『しし座』よね!?」と、リアもはしゃいでいる。「じゃあ、『かに座』はあのあたり?」
「『北極星』もよく見えるな」と、レイは言った。「これだけ明るいと、星座の形がはっきりわかりやすいよな」
「よかった……みんなにもこの景色、見せることができて……!」
ソラも目を輝かせて嬉しそうなので、俺は、
「そうだな……この空は、今までで一番きれいだな!」
――と、笑った。
『みなさん、よかったですね〜!』ピエール33世はピンク色に光った。『あれだけの苦労を乗り越えて、全員でこの空を見上げることができたなんて……感動します!』
「……でも、月がねえな」
『明後日が新月なので、もう地平線の下に沈んだんだと思います』
「月がないのは残念だけど、苦労の末のステキなご褒美なんて……リア嬉しいっ♪」
「この景色、ソフィアさんやモルガンさんにも見せてあげたいね」
テンはそう言うと、指で長方形を作って夜空の写真を撮っていた。
「……こうなると、『記念写真』撮りたくなるね!」
「『記念写真』?」俺はテンの方を見た。
「うん。みんなの姿を写して、背景にこの空を……」
「……でも、あんたが撮影してたら、あんたが写らないじゃない」
リアの言うとおりだ。
「……あ!」ソラが顔を上げた。「あたしのお父さん……その魔法、使えるかも……!」
そして、ソラは自分の家へ走っていった。
やがて、父親と一緒にソラが戻ってきた。
「写真撮ってやるよ!」ソラの父親は歯を見せてニカッと笑った。「ソラの友達だからな!」
こうして、全員の入った写真を撮ってもらったのだが|(月の神は、どうしても本来の虫の姿で写りたがったが、テンに猛反対された)、その後ソラの父親が錬金術師であることが判明し、彼の力で写真はカラーで現像された。
「わー!いい写真!」テンは喜んでいた。「僕はカラー写真撮れないし、ソラちゃんのお父さん、すごいね!」
「うん……」ソラはこくんと頷いた。「うちの家族……みんなすごい……!」
「確かに、レイの『石化』も治ったしな」俺はレイの方を向いた。「体調はどうだ?」
「……腹減った」
「ちょっ!」俺の肩の上にいるリアが、ぷんすか怒った。「そこは『元気だよ!』って答えるところでしょ!?」
『『お腹が空いた』ってことは、元気になった証拠ですよ!』と、ピエール33世は言った。『これからみなさん、ごはんをいただきませんか?』
その後俺たちは、自分たちで料理をしようとしたが、ソラの祖母に止められ、ソラの家でごちそうになった。とても美味くて心も温まる、そんな料理をありがたくいただいた。
いろいろ苦労することもあったが、一緒にいられて、美味い料理が食えて、楽しい時間を過ごせる――そんな仲間ができて、俺は、自分が幸せだと感じた。
たぶん、他のみんなもそう思っているだろう。みんな、それぞれの方法で、楽しい気持ちを表現していた。
――この瞬間は、絶対に忘れてはならないものだ。
俺はそう思いながら、みんなと雑魚寝して、その夜を過ごした。




