202話 6月8日#07〜6発必中①〜
僕が近づくと、へんた……こほん!スカーレットは、僕を睨みつけた。
「お前……僕に、前と同じように殴られたいのか?」
「……あー。風呂場でのこと?」今の僕、絶対悪者の笑い方してる。「あの時は頭に血が上っててね……ちゃんと考えられてなかった」
「……は?」
「でも、今は違うよ」僕はウィンクした。「僕は君に勝てる自信があるよ!」
「………………」
――あ。スカーレット、怒った。
「…………殺す」
突然スカーレットは、その場で四つんばいになった。
するとその体を、金属っぽい硬そうな『何か』が覆い始めた――たぶん、鎧だね。格好が完全に変態だけど。
鎧の後ろに、サソリの尻尾みたいなものが生えていた。ご丁寧に、返しのある針が末端についている。
これは注意しないとなー……なんて考えてたら、スカーレットが問答無用で魔法を使ってきた。
「『ペトロスティンガー』!」
――あ。やっぱりそれ、尻尾の針から飛ばすんだ。
僕は帽子を取って、飛んできた針に向けた。
針は、帽子の中へと消えていった。
「……あ?」スカーレットが、目を丸くしている。
「なかなかいいものくれて、ありがとう!大切に使うから!」
と、僕がへらへら笑ってたら、
「……アリエスの?今、アリエスはどこにいる?」
あの派手な人――スターリアだっけ?――が、そういうのが聞こえてきた。
「教えねえが、すぐここへ来るぞ!」
――って、カイト君が答える声も聞こえてくる。
そしたら、突然スカーレットが「……ははは!」と笑った。たぶん、思わず笑っちゃったって感じなんだろう。
「アリエスは、僕が『石化』させたんだぞ!」
それから、スカーレットはスターリアと言い争い始めた。面白いのかと思ったら罵り合い始めたので、興ざめした僕は、スカーレットに向かって銃を撃った。
「……痛え……!!」
スカーレットは、相当痛そうにしていた――あー、まあお尻に当たったからだろうな。
「僕に背中向けるなんて、ずいぶん余裕があるね、君?」
僕がそう言うと、スカーレットはようやくこっちを向いてくれた。
「貴様……鎧の隙間を狙ったのか?」
「うん」
僕は帽子を被りなおし、
「結構、狙うの得意だから」
――と言って、また引き金を引いた。
銃弾は、今度はスカーレットの眉間に当たった。硬くなってる皮膚に弾かれちゃったけど、問題なーし!
狙いどおり、彼は動揺していた。
「まさか、僕の顔に……!」
「『顔』じゃないよ、『目』だよ」
僕は銃口をスカーレットに向けた。
「……目は、さすがに硬くならないでしょ?」
たぶんスカーレットでも、ここまで言えば、僕がどんな人かわかるよねー?
「こいつ……!」
僕がへらへら笑いながら、スカーレットの周りを軽く駆け回ってみたら、スカーレットは僕の方を見ながら、その場でくるくる回った。おそらく、この人は自分で動き回って戦うタイプじゃないんだろうなー。
――鎧、重そうだし。
すると突然、スカーレットは左手で地面を殴って、
「『スーパークーリング』!」と、叫んだ。
そしたら、地面がばりばり割れて、なぜか崩れ始めた。
「あー。脱衣所で使ってた魔法って、これかー……」
僕は足元にできた穴を見ながら言った。
「てめえ、よそ見してんじゃ……!」
――ズダンッ!
弾はスカーレットの頬をかするように飛んでいった。
「あー。外しちゃったねー」
「……絶対、わざとだろ……!?」
だんだん、スカーレットが焦り始めた。
「……そうそう。いいこと教えてあげる」
僕がそう言うと、スカーレットは眉間にしわを寄せた。
「僕の回転式拳銃ねえ、薬室が6つあるんだよ――で、さっきまでに3発撃った」
僕はまた銃を構えた。
「さあ、これからの3発の中で、君の目に当たる弾があるでしょーか?」
「な……何だそりゃ……?」
「早く僕を倒さないと、ホントに目に当たっちゃうぞ♪」




