200話 6月8日#05
ソラは俺たちを地面に下ろした直後から、スターリアとの戦闘を始めていた。
スターリアの見えない槍も、見えない壁も、ソラのゴーレムは徒手空拳で対抗していた。
「うちの集落守るため……あなたと戦う……!」
「……何でもいいが、てめえ誰だ?」スターリアは、空中の見えないステップの上から、さらに上の方にあるソラのゴーレムの顔を見た。「モンスター?中に人が入ってるのか?」
「おい!スターリア!」俺は、スターリアのすぐ下までやって来た。「お前、何しに来た!?」
「てめえも誰だ?」
スターリアはギロッとこちらを睨みつけた。
――思えばウラヌスで、スターリアは俺のことをまともに見たことがなかった。
「俺たちはレイの……おひつじ座の星霊使いの仲間だ……!!」
「アリエスの?」スターリアは顔をしかめた。「今、アリエスはどこにいる?」
「教えねえが、すぐここへ来るぞ!」
「……ははは!」
笑い声が聞こえると思ったら、すぐ近くにスカーレットがやって来ていた。なぜか地面に這いつくばり、金属の鎧みたいなもの|(金属製の尾がついている)を着ている。
「アリエスは、僕が『石化』させたんだぞ!」
「……何だと?」スターリアは、スカーレットを睨みつけた。「てめえ、なんてことしやがる!あたしがアリエスを倒すんだ!」
「何言ってる。それは僕の役割だ!……こいつらの前で、アリエスを痛めつけてやったら、どんな顔をするか……!」
「ふざけるな!『変態石頭』!!」
「僕に何てあだ名つけるんだ!この『ドギツ陰湿女』!!」
――どうやら2人は、相当仲が悪いようだ。
その時、奥から銃声が鳴り響き、スカーレットが飛び上がった。
「……痛え……!!」
「僕に背中向けるなんて、ずいぶん余裕があるね、君?」
テンが、まだ不敵な笑みを浮かべたままだった――何か怖え。
一方スターリアも、ソラの蹴りをまともに食らって10メートルくらい先までぶっ飛ばされた。
「……痛え……!!」
「戦闘中に……よそ見しない……!」
――さて、スカーレットがテンの元へと戻っていったので、今はスターリアに集中しよう。
スターリアの魔法は、不明な点が多い。
まず、見えない。何かが槍のように突き刺さって穴を開けたり、何か階段のようなものをスターリアが駆け上がったりしている様子はあるが、その『何か』が見えない。
スターリアは楽器|(今回もギターを持ち歩いている)を使っているので、もしかしたら音に関するものなのかもしれない――それか、音そのものとか?いずれにせよ、変わった現象が起こっていることは確かだ。
そういえば、エラに『ノイズ・シャットアウト』を使わせた時は、その魔法盾がかなり変形し、まるでトランポリンの上のように跳ぶことができた。一方『ビートステップ』や『グルーヴランス』は、明らかに硬そうだ。魔法によって、硬さも異なるのかもしれない。
――ということは……!
俺は、持ってきていた弓に矢をつがえ、しばらくスターリアとゴーレムの戦いを見ていた。
そして、スターリアが『ノイズ・シャットアウト』を使った。ゴーレムの拳が弾き返される。
そのタイミングを狙い、俺は『シールドがありそうなところ』に向かって矢を放った。
――矢は、『何か』に突き刺さった。
「……何だ!?」スターリアは驚き、俺の方を見た。
「……なるほど」俺はつぶやいた。「『見えない』だけで、『何か』がちゃんとそこにあるんだな」
スターリアは、愕然とした顔をしていた。
スカーレットは、全ての女性を『自分のもの』と認識しているようですが、特例で何人か苦手な女性がいるようです。現時点で、スターリアが一番嫌いなようです。




