199話 6月8日#04
やがて、『ディザリアス』の煎じ薬は完成し、少し冷ましてからレイの口へ流し込まれた。
その後リアが目を覚まし、レイの頭を優しく撫でてぼんやりしているテンに、こんなことを訊ねた。
「……あら?口移しではあげなかったの?」
「何でそんなことしなきゃいけないの?」
テンはリアの顔を見ずに言った。
「だって♡こういう時は『王子様』のキスが『王女様』を目覚めさせるっていう……」
「レイさんとは、もっと雰囲気がいいところでキスする」
「……何、その男前発言……」
リアは再びクッションにぱたっと倒れた。
――と、思ったら、急に俺に話を振ってきた。
「ねえ、テンって、さらっとすっごくかっこいいこと言わない?あたし、キュンキュンしちゃう♡」
「あー、そーだなー」俺も、最近何となくそう思っていた。
「……カイトも言ってみれば?」
「誰に?」
「だ、誰って……」リアはあたりを見渡した。「れ、レオとか!」
「……何でだよ?」
「だ、だって……」
だが、リアが答えを見つける前に、村中に響き渡る鐘の音が鳴った。
「……敵襲!敵襲!」
「一体なんだろうね?」
ソラの祖母は、家の中に駆け込んできた男性|(ソラの父親らしい)と話をした。
「へ、変な2人組が現れて、「村には入れない」と言ったら、問答無用で攻撃してきた!」
「どんな2人組だい?」
「ものすごく強力な魔法を使う……もしかしたら星霊使いかも……!」
その言葉に、俺たち全員が反応した。
「ソラ、見に行っておくれ」
「……わかった……!」
ソラは、家の玄関へ飛び出していった。
「君たちはどうする?」
「もちろん、行く!」俺も、ソラの後に続いた。
最後にテンが、後ろ向きで部屋を出ようとした。
「リアちゃん!レイさんのこと頼むよ!」
「ええ!わかったわ!」
街への入り口である門の向こうから、人が戦っているような物音がした。
「あ!ソラちゃん!」櫓の上の人が叫んだ。「よかった!早く!」
「……わかってる!」
ソラの体が金色の光に包まれて、中からゴーレムが現れた。
ソラのゴーレムは俺とテンを手のひらに乗せると、ジャンプして柵を乗り越えた。
門の前で、魔法や武器を使って、敵を攻撃しようとしている人たちがいた。
だが、人数の割にかなり押されている。
その押している『2人組』は……
「変態と……スターリア!?」
テンがこちらを振り返った。
「あの派手な服装の子のこと?」
「あいつ、『みずがめ座の星霊使い』なんだよ!」
「……なるほど」
テンは上着を着ると、俺に向かってこう言った。
「変態の方は僕が相手するから、君は派手な子の方をお願い!」
「……大丈夫か?」
「……うん!」テンが、不敵な笑みを浮かべた。「今の僕なら、勝てる!!」
テンから、いつになく強い気迫を感じとった。俺は「じゃあ、よろしく!」と言って、スターリアの方へ走っていった。




