193話 6月7日#01
『み、みなさん!本っ当に申しわけありません!!』ピエールネックレスが、大きな声で謝った。『わ、ワタクシ!こんなことくらいしかできなくて……!!』
「いや。咄嗟のいい判断だったと思ってるよ」テンは、慰めるように優しく言った。
『でもっ、ワタクシ神なのに、レイさんの『石化』の進行を遅らせることしかできなくて……!』
「悪いが、そろそろ声のトーンを小さくしてくれねえか」俺は息を吐いた。「今の俺たちは、誰に見つかっても面倒だ」
俺たちは今、城からそう遠くない、岩場の隙間にいた。レイの体をテンが優しく抱きしめているが、テンの顔は曇っていた。
「何かレイさん……だいぶ冷たくなってるような……」
『『石化』していると、体温調節がうまくできませんからね』と、ピエールネックレスは言った。『しかも、凍ってたわけですし』
「とりあえず、服を着せよう」と、俺は提案した。「リア。お前のコレクションの中から、レイの体型に合いそうなものを見繕ってくれるか?」
「了解!」
それから、リアはいろいろ服を出しながら、ぶつぶつ独り言を言い始めた。
「これはちょっとダサいわね……こっちのも、アリエスの髪の色に合わない……」
「……急いでるから、ファッション性は抜きにして考えてくれねえか?」
俺がそう言うと、リアは「チ!」と舌打ちをした。
「これからどうする?」
「……と、言ってもな……」俺は岩に寄りかかって、腕を組んだ。「ピエールネックレス。『石化』ってどうやったら治るんだ?」
『確か、そんな効果のあるお薬があったはずです』と、ピエールネックレスは答えた。『レイさんは初期の段階ですので、飲めばすぐに回復するかと』
「どんな薬だ?」
『『石化』がレアな症状なので、普通の薬局では売ってないと思います』
「「「………………」」」
俺たちが黙ると、ピエールネックレスは慌てて『あ!でも!』と付け加えた。
『薬草の中にも、煎じて飲ませると『石化』を治してくれるやつがあります!』
「『薬草』か……」俺はふと思い出した。「そういえば、ソラが薬草の本を買ってたな」
「そうか!」テンは、少し顔を明るくして言った。「じゃあ、ソラちゃんに聞けば!」
『ソラさん、ちょうど今日帰ってくるはずです!』と、ピエールネックレスは言った。『まずはソラさんに訊いてみましょう!』
「そうだな!」
普通の薬局の人に訊ねた方が確実な気はするが、その人が俺たちの状況に理解を示してくれるとは限らない。何をするかもわからない。ソラに聞いた方が安全だろう。
「とりあえず服着たら、街まで戻ろう」と、俺は言った。「公園のベンチとかにいれば、レイを抱えててもそんなに目立たないはずだ」
「……で、どうするの?」
「俺がソラを迎えに行く。事情を話して、公園まで連れてくる……だから、」
俺はリアの方を見た。
「さっさと下へ行きたい。早く選んでくれねえか、リア?」
すると、リアはまた「チ!」と舌打ちをした。




