183話 6月5日#03
それから一緒に食事をとった後、レイとテンは手がかり探しの続きを、俺とピエール33世(とリア)は何でも屋『ありさん』の仕事を見てみることにした――金策は、大事。
『レイさんとテンさんって、二人っきりの時は、どんな話をしているんでしょうね?』
「さあな」俺は肩をすくめた。「テンがあれだけ喜んでるってことは、たぶん何かしら気が合うんじゃねえか?」
「何となくテンがずっとしゃべってて、アリエスがそれを聞き流しているような気がするんだけど」
俺もリアに同感する。
「ソラはどうしているんだろうな?」
『話によると、明後日には帰ってきそうですが、』と、ピエール33世は言った。『途中でモンスターに遭ったりしてないか、心配ですね』
『お仕事見つかりマシた!ご確認お願いしマス!』仕事を探してくれる『ありさん』のロボットが、俺たちに話しかけてきた。
俺たちは喋るのを止めて、ロボットがくれた仕事の詳細が書かれた紙を読み始めた。
その日の夜。
レイは既にすやすや眠っていたので、俺はテンに話しかけた。
「何か成果はあったか?」
「うーん」テンはベッドに横になり、天井をぼんやり見つめながら言った。「特には……強いて言うなら、レイさんが疲れたって言ったから、木陰で休んでしゃべってたのが楽しかったっていうのと、」
――だから、成果がなかったのか。
「あとは、カフェでリアちゃんが見せてくれた雑誌をレイさんに見せたら、「私にはよくわからない」って言ってて、やっぱり美形には興味ないんだなーって思ったことくらい」
――だから、成果がなかったのか。
「どうしよう……スカーレットとかいう男に興味がないのはいいけど、僕にも興味持ってくれなかったら……!」
「……他の部分で頑張れば?」
俺は呆れて、自分のベッドへ戻ろうとした。
「あ、そうそう」テンが体を起こした。「一昨日はごめんね」
「……何が?」
「君とレイさんの関係について誤解してたこと」
――あれ?
「何かね。レイさんが最初に君と出会った時、本当に困ってたみたいで……お金もごはんも何もなくて。それで、たまたますぐそこにいた君に話しかけたみたいなんだ」
「……はあ」それは、レイ本人からも聞いた。
「君はレイさんと月の神様のこと目撃してたし、もらった石をレイさんに返そうとしてたし、たぶん理解力のある人だって思ったらしいよ」
「……はあ」
「でね。君、2回もレイさんと月の神様を家に泊めたんだって?」
「まあ、そうだけど……」
「それで、君のことを信頼したみたい……なんだけど、何だかそれだけっぽい」
そして突然、テンはベッドに座り、俺に向かって手を合わせた。
「君とレイさんがすごく仲が良さそうに見えたから、何か誤解しちゃったんだ、ごめん!」
「……ちなみに、その誤解はどこから?」
「君が、たびたび僕を疑ってたから、レイさんから引き離そうとしてたのかなって」
――それか。
「いや、森の中から突然現れた謎の男が、勝手に自分たちにくっついてくるんだから、疑うに決まってるだろ」
「あー、それね。最初は完全に興味本位だったから。今は違うけど」
「そうなのか?」
「君やレイさんやリアちゃんやソラちゃんが、月の神様のために本気で頑張ろうとしていることがわかったから、僕も頑張ろうって思ったんだ」
「……それはよかった」レイだけが目的じゃなかったんだな。
「だから、そのお詫びに……」テンはウィンクした。「魔法について、ちょっと教えてあげるよ」
――お、おお?
「おお!助かる!」俺は素直に喜んだ。
「んーっとね。まず、君は魔力がないからわからないだろうけど、魔力がある人は、その流れというか、自分の中のどこにどれくらい魔力の素があるのか感じ取れるんだ。だから……」
その夜、テンは簡単な魔法の使い方を教えてくれた。もちろん俺は同じようにやっても魔法を使えなかったが、少なくとも『魔法ってどんなもの?』がわかったので、対魔術師対策の一歩としてはなかなかいい感じだった。




