180話 6月4日#04
――とは、言ったものの。
そういう有名人は、自分が見つからないようにいろいろ工夫しているものだ。
俺たちは、何の手がかりもない状態で、街の中をウロウロしていた。
ただ、それとは別件で、ある事件がいくつか連続で起こっていることを知った。
「『若い女性が行方不明』……?」
そう書かれた貼り紙が、街のあちこちで見つかった。
どうやら最近、若い女性が外出したまま帰ってこないという事件が、この街の中でたびたび起こっているらしい。原因や犯人も、本人の安否も不明。
その貼り紙を見つけたテンは、レイの隣へすすすと移動して、
「手を繋いで歩こう!」
と言って、レイの手を握って歩き出した。
レイは、びっくりはしていたが、特に抵抗することなく、テンの横をとことこ歩き始めた。
『もしかして、『満更でもない』感じなんですかね?』
俺の隣に、ピエール33世がやって来た。
「そうかもしれないが、どうなんだろうな」
俺は2人の後ろ姿を見ながら、ぼんやりと答えた。
「……結局何も見つからなかったな」
「そうよねー」
「うーん。やっぱりこんなものなのかなあ?」
「もう眠い……」
夜。俺たちは、昨日と同じ宿で、それぞれのベッドの上で横になっていた。
「……明日は、二手に分かれて探してみるか……」
俺の言葉に、テンが「え?」と言って、飛び起きた。
「俺はリアとピエール33世と一緒に動くから、お前ら2人で別のところへ行けよ」
「……なんでまた、急に?」
――この男。妙なところで鈍いな。
「お前とレイが仲良く手を繋いでる後ろを歩くの、めっちゃ気まずいんだよ」
「あたしとピエール33世は目立たないけど、あんたはちょっとね」リアがテーブルの上でくすくす笑っている。
「ホントにいいの?僕たち2人っきりで?」
「いいよ……代わりに、レイのことちゃんと見ておけよ。ただでさえ方向音痴なのに、物騒な事件もあるみたいだしさ」
テンの顔を見ると、めっちゃ嬉しそうにニヤニヤ笑っていた。
「……レイさん。今の聞きました?」
「……うーん……」レイは、眠くてうとうとしていた。
「あ、ごめん!もう寝てていいよ。明日話してあげるから!」
テンはそう言いながら、レイにタオルケットを掛けてあげていた。
その様子を、リアがじーっと見つめている。
「……テンって、ものすごく愛情が深いわよね」
「そうだな……」俺は遠い目をした。「何かだんだん、テンの気持ちが強くなっていってるような気がする」
『テンさん、いい人ですよねー』ピエール33世は、俺の枕の横でピンク色に光っていた。『ちゃんと想いが届けばいいんですけどねー』




