176話 6月3日#04
夕飯を食べた後、しばらく街を散策していると、俺たちは偶然本屋にたどり着いた。その前に、おしゃれな服と化粧に身の入った、俺たちと同じくらいの年齢の女子グループが、キャーキャーと何やら楽しそうに会話していた。
――まあ、女性のグループが騒いでいるのは、比較的よく見る光景だが、なぜ本屋の前なのかがわからない――本屋って、そういう人が来るところだっけ?
それはともかく、レイが無意識に本に引き寄せられているので、俺たちは本屋の中へ入ることにした。
「へえ。入り口に比べてずいぶん広い店ね」
リアは俺の肩に乗って、あたりをキョロキョロ見渡した。
「おー!」レイが『水を得た魚』になっている。「この本、欲しかった『ロー・クランベリーの冒険』最新刊!」
「へえ。『好きな動物のぬいぐるみの作り方』かあ……」テンがにへにへ笑っている。「レイさんにクアッカ作ってあげたら喜ぶかな……?」
「『薬草大全』……」ソラが分厚い本を見つめている。「これ、おばあちゃん家にある……自分用に欲しかったやつ……」
「ね!ね!」リアが耳元で騒ぎ出した。「『ファッション誌』のコーナーへ行って!最新のファッションが知りたいっ!」
仕方ないので、雑誌のコーナーへ行った。リアはどうしても女性向けの雑誌を見たがったので、恥ずかしかったが手にとって見せてやった。
「きゃー!この人っ!」リアはある雑誌を見ている時に、声を上げた。「今月号の見開きモデルなのね!絶対買わないと!」
俺は、雑誌に目を落とした。誰だか知らないが、男性のカラー写真の記事だった。
「……お前、男が好きなのか?」
「……んなわけないじゃない!」リアは俺の耳を引っ叩いた。「でも、この人は別よ!『氷霜の貴公子』スカーレット・シャウラ様!」
「ひ、ひょうそう……?」
「『氷の魔法』が得意なの!」リアは写真を指さした。「今、最高に売れているファッションモデル!もう、これ以上ないくらいの美男子よ!」
――まあ、男の俺でも、目をうたが……いや、目を見張るほどの美形男性であることはわかる。店の入口で騒いでいた女性グループは、これでも見ていたんだろうか。
「ね♪これ買って♪」
「……仕方ない。全員分まとめて買ってやるか!」
「あら?カイトは買わないの?」
「……じゃあ、これ買う」
『かんたん初級魔法のやり方』……とりあえず、魔法対策の研究に役立つかもしれない。
「あら、子ども向けの本よ。『脳筋』はやっぱりおこちゃまなのね!」
「……後で殴るから、覚悟しとけよ!」




