175話 6月3日#03
俺たちは、途中で何回か休憩をしながら、先へと進んでいった。
ピエール33世がいないと思ったら、ネックレスになって、一番涼しいと思われるソラの首元にぶら下がっていた。なので代わりに、休憩の時は大きめの屋根になって、俺たちを強い日差しから守ってもらうことになった。
『この調子で進めば、あと1、2時間でプルートーに着きますよ!』
休憩中に、『ピエール屋根』がそう言って励まそうとした。
「んー。でも、しばらくは動かないほうがいいんじゃないかな?」と、テンは言った。「今は一番暑い時間帯だから、ここは一番体力のありそうな『月の神様』が犠牲になって……」
『か、『神様遣い』が荒い〜〜〜!』
と、言いつつ、『ピエールルーフ』はしばらく俺たちを休ませてくれた。
俺たちがこうして休んでいると、時々大きな馬車が街道を通っていった。こういう土地だからか、荷台にも御者台にも大きな屋根がついていた。
「……あの馬車の馬、何かデカくねえか?」と、俺はつぶやいた。
「『ヘルホース』ってモンスター……」
「え!?モンスターなのか!?」
「うん」ソラはこくんと頷いた。「鼻から火を噴き出すけど、モンスターとしてはおとなしい……」
「へえ。人間の役に立ってるモンスターもいるのね」リアはクッキーの欠片にかじりついていた。
「モンスターも生き物……持ちつ持たれつが一番……」
「襲ってこなければ、こっちも戦う必要はないんだが」
「ま、それもそうなんだけどね」
それからしばらくして、俺たちは移動を再開した。
そして1時間が経った頃、遠くに城壁と思われるものが建っているのが見えた。
「おお!思ったより大きな街なんだな」
近づくにつれ、どんどん大きくなってゆく城壁を見ながら俺は言った。
『あともう少しです!レイさん、頑張ってください!』
レイは、歩いていない割には元気がなかった。
「……あー、めんどくさい。早くゴロゴロしたい……」
――どうやら、精神的な問題のようだ。
「れ〜いさん!」テンがレイのそばに近寄った。「ゆっくり自分のペースでいいんだよ〜!僕が一緒についてるから!」
「えー、疲れた……」
「どうしても無理なら、僕がおぶってあげるから!ほら、ゴールはもうすぐそこだよ!」
――ま、テンがついていれば大丈夫か。
俺は前を向いて、黙々と歩き出した。
その後、俺たちは全員揃って、城門の前へたどり着いた。
門兵と軽く話してから、城門をくぐり抜けて街へと踏み出す。
「へー、」テンが目を細めた。「またちょっと、他とは雰囲気が違う街だねえ」
建物のほとんどが石造りで、同じ石でできているのか、壁の色が灰色で統一されている。あまり高い建物はなく、一番高くて5階くらいまでしかなさそうだ。
街の中はアップダウンが激しく、道は曲がりくねり、階段になっているところも多かった。地元民は慣れているだろうが、旅行者である俺はちょっと歩きにくさを感じた。
そして、一番高い高台の上に、立派な城が見えた。遠くてわかりにくいが、その城も石で造られているようだ。こちらは白っぽく、太陽の光をよく反射していた。
「あの城……観光名所……」と、ソラは指さした。「昔、領主が住んでいたことある……今は、誰も使っていない……」
ソラの手元を見ると、いつものガイドブックがあった。すっかりソラの持ち物になっている。
「で、問題はここに『さそり座の星霊使い』がいるかどうかなんだけど……」テンは俺の方を見た。「今まで一体、どうやって星霊使いを探していたの?」
「……運任せ」
「……え?」
「だって、ほとんど何も手がかりねえんだぞ?手当たり次第、思いついた作戦をやっていくしかねえだろ」
『『数撃ちゃ当たる』、ですよ!』
ピエール33世(ロボット)が、オレンジ色に光った。
「……それでよく、半数近くの石を集められたね」テンは目を丸くしていた。
「まあ、向こうも俺たちのこと探してたりするからな」俺は肩をすくめた。「あと、星霊使いは目立つ」
「言えてるわね」と、リアが相槌を打った。「あたしはこう、ちっちゃいから目立たないけど……」
「いや、それはそれで目立つんだけど」
「それより、腹が減った」と、レイはつぶやいた。「食堂はないのか?市場は?」
「わかった、わかった。これから探して、食い終わったら宿を探そう」
俺がそう言うと、みんな『「「「わーい!」」」』と、諸手を挙げて喜んだ。




