170話 6月2日#03
街には、ドラゴンが暴れた後が大きく残っていた。
「今日の新聞まだ見てないけど、絶対一面記事に載ってるよね」
テンがそう言うと、全員が頷いた。
『あー。みなさんとようやく再会できて、ホッとしてますー!よかったー!!』
ピエール33世は『荷物』扱いになっていたので、俺たちから取り上げられていた。
「……それで、どうするの?」
「やっぱり復興の手伝いをやる暇はないよな」俺は、いつもと同じ罪悪感を覚えていた。「結局、次の街へ行くしかないんだよなあ」
「そうだな」レイは額に手を当てて周りを見渡した。「モルガンはいないっぽいし、ここにいるメンバーだけで次を目指すのが一番いいと思う」
「あ、レイさん、」テンが声をかけた。「あまり空を飛ばないようにね。モンスター扱いされるみたいだから」
「空を安定して飛ぶ魔法は、普通モンスターしか持ってないから……だと思う……」
「……お、ソラ。さすが、用意がいいな」
俺は、横にいるソラの手の中にある、この国全土の地図を見た。
『えーっとですね、』ピエール33世も、ソラの後方から地図を見て言った。『現在いる街は『アトラス』ですが、ここから真東の方へ行ったところに『プルートー』って街があります。そこは『さそり座の星霊使い』さんの故郷です』
「さそり座かー……」テンはぼやーっと空を見上げた。「何か、癖のありそうなイメージがあるね……」
「お前の苦手な『虫』だからか?」
「……ギクッ!」
「あ、あの……」
ソラが遠慮がちに言い、俺たち全員がソラの方を見た。
「プルートー……あたしの故郷に近い……故郷に帰りたい……」
「……ああ。いいぞ」俺は頷いた。「確か『石』もそこにあるんだったよな」
「うん……それも取りに行く……」
「……じゃあ、ソラちゃんは別行動になるのかな」テンはソラの顔を覗き込んだ。「1人で大丈夫?」
「うん……行き慣れてるし、大丈夫……」
「そうか」俺は頷いた。「じゃあ、そうするということで……まずは買い物か?」
『そうですね』と、ピエール33世が同意した。『街の東の方はほとんど被害がなかったみたいなので、そのあたりの市場で、必要な物を買いましょう!』
俺たちは買い物を済ませると、昼頃、飛空艇発着場から東へ向かって出発した。
『やっぱり、どう考えても最低1泊は野宿するしかないですね』
ピエール号はぼやいていた。
「でも、街道沿いに進んでいけば、そんなにモンスターに遭わないで済むと思うよ」
「出てきても、燃やせば問題ない」
「………………」
俺は、レイにジトッと目を向けた。
「とにかく、モルガンがいないから、夜の見張りのシフトが今のままだと、俺が1人になるんだよな」
「……あ、そうだね」テンは頷いた。
「見張りを誰かが2回頑張るか、誰かが1人で頑張るか……」
「どっちもどっちで不安よね」リアは、テーブルの上の自分のクッションの上でゴロゴロしていた。「強いモンスターが現れないとも限らないし」
「ま、相当ヤバいのが出たら、ピエール号が叫んで叩き起こしてくれると思うけどな」
――うーん……どうしようか……
「……あ、あたしやる……」
「え?」俺はソラの方を振り返った。
「あたしが、1人で見張る……」
「大丈夫なの?」と、リアは訊ねた。
「リアはカイトとの方が相性がいい……同じ弓使いだから……」
ソラも、俺の方を向いた。
「あたしには、ゴーレムがいるから……大丈夫……」
――言われてみれば、そうなのかもしれない。
ソラなら、ガードする系の魔法もあるし、1人で時間稼ぎができる。戦力的にも、性格的にしっかりとしているという意味でも、安心して任せられる。
「……じゃあ、ソラのシフトを早朝に回そう」と、俺は言った。「特に問題がなければ、俺が深夜と早朝の両方のシフトに入る。リアは深夜、レイとテンは最初のシフトにする」
「「「「ラジャー!!!!」」」」
――というふうに、夜の見張り番は決定した。




