159話 6月1日#07〜モルガンさんを守れ!①〜
えーっとねえ、あれはカイト君たちと合流する1時間くらい前のことかなあ。
僕とソラちゃんとモルガンさんで、一緒に丘の上の公園へ行ってみたんだよね。
ただ、木や草が植わっているだけのシンプルな公園。
その奥に、何かの遺跡の跡のような、結構昔に人によって加工された石がゴロゴロしている場所があって、そのさらに奥に、円盤のような大きな石座が置かれていた――カイト君の報告と一緒だね。
僕は両手で長方形を作り、その中に目を持ってきて、ウィンクをした。
――ホントはただ目を瞑っただけでも撮れるんだけど、せっかく練習して上手にウィンクできるようになったんだから、いつも片目だけ瞑って写真を撮ってるんだよ。
僕は、しばらく夢中になって写真を撮影していたんだけど、モルガンさんが堂々と石の円盤の上に乗っているのを見た時、急にピーン!ときた。
「ねえねえ、ソラちゃん」
「……?」
ソラちゃんは、相変わらず反応が弱く、言葉数が少ない。でも、ちゃんと人の話を聞いていることは、僕も知っているよ。
「あのね、『鍵』を出してほしいんだ」
「……うん?……」
ソラちゃんがあの大きな鍵を取り出すと、僕の指示に従ってモルガンさんに手渡した。
「……何のつもりだ、野菜男?」
モルガンさんは、鍵を杖のように石の円盤に突き立て、僕をギロッと睨みつけた。
その瞬間を逃さず、僕はぱちんとウィンクした。
「……おお!いい写真が撮れた!」
現像した写真では、不遜なモルガンさんがさらに威圧感を放っていて、我ながら写真撮影が上手いなと……
「我で遊ぶでない!図が高いぞ、野菜男!」
モルガンさんは不機嫌になり、僕に向かって鍵を突き出した。
僕はくすっと笑ってしまった。
「そんなに怒らないでよー。旅の思い出を写真に撮っておくのも、僕の立派な仕事だよ?」
「勝手なことを……!」
その時、モルガンさんが目を大きく見開いた。僕が「何だろう?」と思っていると、突然鍵がモルガンさんの手を離れ、僕に向かって吹っ飛んできた。
「ふぎゃ!」僕の眉間に鍵が当たり、僕は後ろにひっくり返った。
「……テン、大丈夫……?」ソラちゃんが、慌てて駆け寄って声を掛けてくれる。
「一体何が起こった……?」
モルガンさんは石の円盤から降り、鍵が飛んでいった方向へと向かった。立ち上がった僕とソラちゃんもそれに続いた。
僕たちは、丘の上から夕日を見つめていた。今日も晴れていて、なかなかきれいな風景……
――なんだけど、あの海の上に浮かんでいるものは何だろう?金色に光る大きな長方形が……て、あれ?
鍵が、長方形に突き刺さっている。
「あれ、もしかしてポムドールへの入り口かな?」
「おおかた、そんなところだろう」モルガンさんは勢いよく拳を上に突き出した。「行くぞ、ポムドールへ!!」
その時、僕はハッとした――モルガンさんを突き飛ばし、銃を構えた。
「何をする、このやさ……!」
モルガンさんは、僕が左の脇腹から血を流しているのを見て、言葉を失った。
「誰か来る……」ソラちゃんは状況をすぐに把握し、モルガンさんの手を取った。「狙われてる……早く逃げて……」
「何を!我は逃げたりせ……!」
またもモルガンさんの言葉が途切れた。ちらりと見たら、ソラちゃんがモルガンさんを空の彼方へ投げ飛ばした後が見えた――さすがソラちゃん……
僕の脇腹が『みずがめ座の石』の力で完治した頃に、木の間から3人、人が現れた。2人は見覚えあるけど、1人は初めて見た。ピエールって男とレイラって女と、もう1人男が……
――あれ?ピエールはドラゴン召喚の『生贄』になってなかったっけ?何でここにいるの?
「……2人しかいないんだね」レイラは冷たい声でそう言った。「さっきまで『レジェンダリ』がここにいたよね?」
「いたはず。俺が棘で撃ち殺したはず……でも、姿がない……」
「……ということは、この2人が逃がしたんでしょうね!」
「他の仲間の元へか!」レイラはくるりと後ろを向いた。「探すよ!あと……あの2人はお前らが殺して」
3人が木の間へと去るのと逆に、木の間からたくさんの人たちが現れた。みんな生気のない顔をしていて、手にさまざまな道具――というか、武器……を手にしている。こんな場面、見覚えがありすぎる。
「また『ゾンビ』!?」
「ここは戦いにくい……」ソラちゃんが僕の袖を引っ張った。「移動する……あと、花火……」
「……了解!」
初めて会った時は、ソラちゃんがこんなに頼れる子だとは思ってなかったけど……やっぱり星霊使いはみんなすごいね!




