158話 6月1日#06
予想どおりというか、他の仲間たちはもっと派手なことをしていた。
一番派手なのは、もちろんレイだ。マーリンに炎の魔法をいくつも叩きつけていた。
レイの炎があちこちで燃え盛っているのであたりが明るく、マーリンが黒っぽい緑系の鱗に覆われたドラゴンであることがわかった。体の棘は思ったより脆く、戦闘の中でいくつも地面に落ちていた。
対して尾の棘は数が多くてとても鋭く、振り回しただけで地面に突き刺さるほどだった。翼が体の大きさに対して小さめだったが、飛ぶことはできるようだ――レイほど速くは動けないようだが。
マーリンにはどうやら魔法を吸収する能力があるらしく、レイの『インフェルノ』に包まれるとその炎がすぐに消え、逆に口から『インフェルノ』と同じ黒っぽい炎を吐き出していた。
――だが、火力が全然違う。
レイは、マーリンには吸収しきれないほどの数の魔法をバンバン使っていた。マーリンは防戦一方で、まさしく力でゴリ押しされていた。
「さすがレイだな」俺は独り言を言った。「あの魔力量……少し俺に分けてくれないかな……?」
俺にできそうなことは何もなさそうなので、俺はソラ、テン、モルガンの様子を見に行くことにした。
――もう1人の幹部『ピエール』がどこにいるかわからないし。
街なかを走っていると、あちこちで多くの人が倒れていた。たぶん、みんな『ゾンビ』にされていた人たちだろう。死んでいないことを祈りながらどんどん海の方へ走っていくと、あるところで突然、多くの人が何かの周りにたかっているのが見えた。
しかも、全員同じ灰色のマントを着ている。これは……!
「ピエール33世、ちょっと見に行ってくれないか?」
俺が小声で話しかけると、ピエール33世は控えめにオレンジ色に光り、『了解です!』と言って、屋根の上を伝って人だかりに近づき、カメラでじーっと様子を眺めていた。
数分後、ピエール33世が帰ってきた。
俺たちは物陰に隠れると、小声で話しあった。
『あの人たちの真ん中に、『ワタクシと同じ名前を名乗る不徳な輩』がいまして……』
「ああ」俺は、こみ上げる笑いを何とかこらえた。
『地面に倒れているモルガンさんを、ソラさんとテンさんが『あの輩』や灰色マントたちの攻撃から守っているみたいなんですよ』
「そうか」悪い予感が当たった。「で、この人たちは何してるんだ?」
『それがですね……』ピエール33世は紫色に光った。『『あの輩』は『人を透明化』させる薬を持っているらしく、マントの中の人がみんな透明になっていて、何しているのかよくわからないんですよ』
「『人を透明化』……?」
「錬金術でそういう薬が作れるらしいです」
「そうなのか……?」
でもそれなら、ピエール本人が消えたり現れたりする理由もつく。
『どうしましょう?』
「そうだな……」
思案していると、ふとある人の姿がなかったことに気づいた。
「……リアを探すか」
『え?』ピエール33世は、一瞬緑色に光った。
「たぶん、ドラゴンを全面的にレイに任せて、そのへんのどこかにいるはずだ……もし、仲間を見捨てるつもりがないなら、こっちへ来ているはず」
と、その時、
「あんた、思ってたより頭が回るのね」
後ろから、声が聞こえてきた。




