153話 6月1日#01
翌日。
俺たちは2つのグループに分かれる前に、いつものガイドブックを見て、街に関する情報を集めていた。
「沖合に、小さな島がある……」と、ソラは言った。「人が住めるほどの大きさじゃないけど、昔から漁業に使ってたみたい……」
「結構怪しいスポットだな」俺は、うんうん頷いた。「ソラたちは、その島もどうなっているか調べてみてくれ」
「任せろ!」
モルガンは、やる気がみなぎっていた。
対するテンは、まだグループ分けに不服そうだった。
「僕のバカ……最初から否定していれば、レイさんと一緒になれたかもしれないのに……」
「じゃあ、あたしたちはどうする?」
テンの様子を横目で見ながら、リアは俺に訊ねた。
「ポムドールへの入り口が街なかにあるってのは考えにくいから……タクシーに乗って、街のはずれまで行ってみるか」
「りょーかい」
それぞれの方針が決まったところで、俺たちAグループとソラたちBグループは逆の方角へと向かった。
俺とレイとリアとピエール33世のグループは、街のはずれにある小高い丘の上に立っていた。
見晴らしがよく、海から吹く風が気持ちいいが、特にこれと言って何かがあるわけでもなかった。
「『アトラス』って、神話ではどこにいるんだ?」
「詳しくはわからんが、『黄金の林檎』があるところからそう離れていないところで『天球』を担いでいるらしい」と、レイは答えた。
「でも、実在してたらこのあたりにいそうよね」リアは周囲を見渡した。「何かないかしら?」
しかし、俺たちは何も見つけられなかった。仕方なく帰ろうと思ったその時、宙に浮いていたレイが、何やら後ろの方を指さしていた。
木が植わっているところの奥へ行くと、石がゴロゴロ落ちていた。ここに石像か何かがあって、それが壊れてこうなったのだろうか?
「……天球?」レイが首を傾げている。
『どうなんでしょう?』ピエール33世はそう言って、くるりと回った。『風雨にさらされていて、よくわからないですね』
「あ、待って。ピエール33世、あっち行って」ピエール33世に乗っているリアがそう命令した。
リアが行こうとしている方向へ、俺とレイも近づいていく。
するとそこには、石製の円盤があった。
「ねえねえ。この彫ってあるやつ、十二星座のシンボルに似てない?」
円盤の側面を指して、リアは言った。
「確かに……しし座とおとめ座か?」
『ちょっとわかりにくいですが、それっぽいですね』
他の3人は納得しているが、俺にはよくわからない。
「……あ。この隣にあるのは、てんびん座だな」
その声に反応して、俺はレイのそばに立った――確かに、これは見覚えある。『Ωみたいなのの下に棒が一本ある』やつ。
「じゃあ、あたしたちに関係あるものがあったのかしら?」
『そうかも、ですね!』
そういえば、この円盤、中央あたりが凹んでいる気がする。もしかして、何か丸いものがあった……?
「……それは考えすぎか」
俺たちは、他にこれといって何も見つけられなかったので、丘の麓まで下りることにした。




