152話 5月31日#02
アトラスは、プロセルピナに比べてかなり小さな街だった。
トリトンと同じく漁業が盛んで、魚料理を出す飲食店が多かった。
「……で、『ポムドール』はどこにあるのだ?」
モルガンはそう言ってあたりをきょろきょろしていた。
「予想どおりだけど、すぐには見つかりそうもないね」と、テンは言った。「今日はもう夜だし、明日以降探して回ろうよ」
モルガンは不満そうだったが、俺たちが説得して、まず夕飯を食べることになった。
その食事をしている時、
「せっかく6人+1体がいるんだから、明日二手に分かれて探さない?」と、リアが提案した。
「そうだな。それがいい」俺は頷いた。「じゃあ、組み合わせは……」
「僕はレイさんと一緒がいい」
「あたしはその2人にくっついていくわ♪」
「……その組み合わせは、嫌な予感しかしないんだが」
俺は呆れて、テンとリアにジトッとした目を向けた。
「……なんか僕たち、全然信用されてないね」
「前科があるからな」
『あ、じゃ、じゃあ!』ピエール33世が白くピカッと光った。『ワタクシも一緒に行きます!』
「ストッパーとしては頼りないが……まあ、戦力的には問題ないか」
「……戦力?」モルガンが眉をひそめた。「戦いが起こるということか?」
「それはわからない……でも、敵もポムドールを狙ってる……」
「ソラの言うとおりだ」俺はみんなの顔を見た。「いつ妨害に遭ってもおかしくない。それなりの備えが必要だ」
「もし何かあった時に、もう片方のグループに合図を送れる手段があるといいんじゃないかな?」
「そうだな……何かあるのか?」
「ふっふっふっ!」
そのテンの不敵な笑顔は、何かあるということなのだろう。
そう思った瞬間、テンは壁のフックに掛けてあった帽子を外し、中から何かを取り出した。
「……じゃーん!」
テンは、細長い筒状のものを取り出した。
「……何それ?」
「ヴェリタス家に代々伝わる(ウソだけど)……花火だよーん!」
――花火らしい。
「……と言っても、そんなに派手な光や音は出ないから、合図を送るのにちょうどいいと思うよ」
「あんた、何でそんなもん持ち歩いてるのよ?」リアが呆れた顔で言った。
「……まあ、使えそうだから、この際使っていこう」俺は、テンから1つ受け取った。「で、これどうやって使うんだ?」
「ん?普通の花火と同じ」テンは上を指さした。「火をつけて、少し離れたところで待っていると、勝手に花火が打ち上がるよ!」
「『火』か」モルガンは目を細めた。「我は『火』ではなく『光』を操る。だから、点火することなどできん」
「あたしの雷は、使ったら危ないから無理ね」と、リアは言った。
「あたしも……『火』はつけられない……」
「もちろん、俺もだ」俺はテンの方を見た。「レイは当然点けられるが、テンはどうなんだ?水以外の魔法も使えるのか?」
「うん……あ、無理」
テンは何かに気づいて、咄嗟に回答を翻した。
しかし俺は、しっかり聞き逃さなかった。
「だとしたら、やっぱりお前はレイとは別の組に入ってもらうしかないな」
「ち、ちょっと待って!ライターなんて、道具屋でいくらでも売って……」
「ライターは危険……敵からの攻撃を受けた時に、着火するかも……」
「ソラの言うとおりだ。魔法の方が、ずっと安全だ」
「う、うう……」
そうして、非情に徹して分けられたグループは、
Aグループ:俺、レイ、リア、ピエール33世
Bグループ:テン、ソラ、モルガン
それぞれが東西に分かれて、ポムドールのヒント探しをすることになった。




