146話 5月29日#05−5月30日#01〜真夜中の騒動③〜
テンの話を聞き、俺は頭を抱えた。
「あー、もう!もっと結果を考えて行動しろよ!」
「……ごめんなさい」
「あ、でも!」テンはレイを庇おうとした。「レイさんのおかげで、あの大ムカデは全滅したし、そんなに怒らないであげ……」
「お前もレイをしっかり止めろよ!」
「……ハイ、ごめんなさい」
「それで、どうするのよ?」リアはソラの頭の上に乗っていた。
「どうするって、本当なら見張り番から降ろしたいけど……」
「えー!?それだけはどうか……!」テンはよっぽどレイと一緒にいたいらしい。
「……心配しなくても、人数が少ないから外さねえけどな」
「あ、じゃあ、こういうのどう?」リアはぱちんと手を打った。「反省文書かせるの♪」
「……何で!?」
「事細かに、起きた出来事を書かせるのよ♪テンがアリエスに何をしたのかとか、どんな口説き文句を言ったのかとか……」
「それが目的か」
俺は呆れて肩をすくめた。
「い、言っておくけど……僕、口説いてないよ!?普通にしゃべってただけだよ!?」
「……どうせそんなもの、あっても仕方ねえから書かなくていい」俺はビシッと、レイとテンを指さした。「とにかく、レイ!今後見張る時は、俺の許可が出るまで一切魔法を使わないこと!」
「……はーい」
「あと、テン!」
「えっと……何?」テンの顔が引きつった。
「もう一度レイの暴走が止められなかったら、俺と組み合わせを交代してもらうからな」
「……はい!愛の力を振り絞って頑張ります!」
――わけのわからない返事だ。レイが「『愛の力』?」って、首を傾げているし。
「……まあ、いいや」俺はため息をついた。「あと1時間経ったら、俺とモルガンが見張りを交代するから、それまでよろしく頼むよ」
「ラジャー!」レイが敬礼している。
「あ、じゃあ僕も……ラジャー!」テンも真似して敬礼している。
ホントに理解してるのか?……と不安に思いつつ、俺は他のメンバーと共に船内へと戻っていった。
その後は特に問題もなく、朝を迎えた。
朝食の席で、俺はみんなの調子を訊いて、夜の見張りが体の負担になってないかどうか確かめた。
「……大丈夫そうだな」
レイはずっとウトウトしているが。
「何か君って……」テンが俺の方を向いた。「意外と優しくて気配りができるタイプなんだねえ」
「……何が言いたい?」
「いやあ、『剣士』だし『闘技士』だし、もうちょっと荒々しい感じが必要なんじゃないかと思って」
「大きなお世話だ」俺はテンに背を向けた。
「でも、正義感強くてカッコいいと思うよ!……まあ、レイさんを惚れさせるのは、僕だけどね!」
「あ、そー……」
コイツが何でそういうことを言い始めたのか、次のセリフで理解した。
「僕はレイさんと愛し愛される関係になる!君にその邪魔は絶対させないからね!」
――勝手に、ライバル意識を燃やしている。そして勝手に、『俺がレイとテンの間を引き裂こうとしている』と思っている。たぶん。
「めんどくせえなあ……」
俺はぼやきながら、自室に行こうと席を立った。




