143話 5月29日#02〜解説:モンスター図鑑〜
日が沈んでから、リアとソラが見張りを開始した。
もちろんピエール号も周囲を警戒してはいるのだが、戦闘能力がないので素早く対応できない。
でも、3人が話している会話|(全館放送)から察するに、連携をとるのは問題なくできそうだ。
俺たちは夕飯を食いながら、モンスターの話をしていた。
「んー。一番危険なのはこの『キングヴェノムドラゴン』だな」レイは昨日、神話の本のついでに見つけてきた『モンスター図鑑』のページを指さした。「体はそんなに大きくないが、人を瞬殺できる猛毒を持ってる」
「遭いたくねえな」俺は隣のページを指さした。「あ。こいつ!」
「『フュルフュール』。嵐を呼び起こすドラゴン……」
「嫌なこと思い出すな」
「僕の一張羅をびしょびしょにした嫌なヤツ……」
「雲の上からダイビングする羽目になった元凶……」
「『フュルフュール』ごとき、我なら瞬殺できる……はず」
――『レジェンダリ』にとっても、やはりかなりの強敵らしい。
「……ま。とにかく、それは希少種だから、また遭うことはないはずだよ」テンは苦笑いしながら、ページを何枚かめくった。「意外ときついのは、『グラトニール』系統かな。キッチンに忍び込まれたら、大変なことになる」
「それは『アップル・グラトニール』で経験済みだよ」
――ちなみに、『オレンジ・グラトニール』とか『ピーチ・グラトニール』なんかもいるらしい。単に強力な相手より、手ごわい気がする。
「あと、『シニスターオーキッド』は人の内臓を食べる」
「動物園で見た」
「『フェンリル』は、群れで行動する獰猛な大柄の狼……『ファイアスコーピオン』は、火傷させる針を飛ばすサソリ……」
「……こんなにいろんなのが、このあたりに住んでるってこと?」
「そうだねー」テンが遠い目をしていた。「ここは『森』と『乾燥地帯』の両方があるからね。いろんなやつがいるのもしょうがないのかも……」
「いずれにせよ、どのモンスターであっても、我らは排除するのみだ」
モルガンの目は、やる気に満ち溢れていた。
「えーっと。もうすぐ8時になるね」テンは懐中時計を見た。「レイさん、ちょっと休もうよ。時間になったら、僕が起こしてあげるから」
「んー。そうだな」
夜10時頃から、レイとテンが見張りを始める。俺とモルガンは深夜から朝方に見張りをするので、早い時間だがもう寝ることにした。
それにしても――戦力の分散という意味ではよい割り振りをしていると思うが、レイとテンが一緒なのは、何か恣意的なものを感じる。
――ま、一番いいのは何にも出会わないことだけどな。




