140話 5月28日#04
俺たちが買い物を終えて、集合場所の宿の前に行くと、レイ、リア、モルガンの3人が、何やら話し合っていた。
「どうした?何かあったのか?」
俺が訊ねると、レイがサムズアップした。
「さすが私。日頃たくさんの本を読んでいただけのことはある」
「……とりあえず、全員揃ったら説明する」モルガンはあたりを見渡した。「レオと『野菜男』はどこ行った?」
「……モルガンの中で、『野菜』と『優男』が合体している……」
俺が笑いをこらえていると、噂のソラとテンがこちらにやって来るのが見えた。
「やあ!みんな揃ってるね!」
『テンさん!ソラさん!』ピエール33世が、2人に近づいた。『進捗はいかがでしょうか?』
「半分くらい、組み立て終わったよ!」
「ほう、それは朗報だ」
モルガンが、自分より背の高いテンを見下すように睨みつけた。
「我が新しい情報を見つけた。貴様らに教えてやるから、ついて来い」
「……正確には、私が見つけたんだけど」
レイの発言はモルガンに無視され、モルガンは堂々と宿の中へ入っていった。
「その『ヘルクレス』とかいう奴の神話の詳細がわかってな」
なぜか、モルガンが話し合いを仕切っていた。いつぞや「貴様らと馴れ合うつもりはない」とか言ってた人なんだが。
「じゃあ、アリエス、サギタリウス。貴様らが説明しろ」
――そこは他人任せなんだ。
「えーっとね、重要なところをかいつまんで話すとね」リアは、レイに本を出すよう合図した。「その神話では、『ヘスペリデスの園』って場所に『黄金の林檎』があるんだけどー」
――そのヘスペリデスと呼ばれる神々の父親がアトラスという神で、罰として永久に天球を担がされているらしい。
「……でまあ、ヘルクレスはアトラスに『林檎』をとってこさせるんだけど」
――アトラスが『林檎』を取りに行っている間、ヘルクレスは一時的に天球を担いだらしい。
「その『アトラス』って、この国の街の名前としてあるでしょ?最西端に」
「神様のアトラスの居場所と『ヘスペリデスの園』も、世界の一番西の端にあるって設定らしい」
「……で?」
俺は聞く前に、何となくどういう結論に至ったのかわかった。
「『アトラス』って街に行けば、きっと何かがあるのよ♡」
「おそらく、『ポムドール』が、そこにある」
モルガンは、断言している。
「うーん……」テンは天井を見上げて考え込んだ。「まあ、ヘルクレス座のカードが場所のヒントだったなら、その仮説は当たってる可能性があるよね」
「……じゃあ、行ってみる?」
「ちょっと待って……」ソラは地図を取り出した。「ここが今いるケレスで……ここがアトラス……」
「少し離れているな」
直線距離では、ヴィクトリア−ケレス間と同じくらいか……?
「しかも、鉄道がない……」
「……でもまあ、数日はかかりそうだけど、海路でも空路でも行けそうだよね」
しかしソラは、首を振った。
「このあたり、モンスターが多い……そんな簡単に、移動できない……」




