138話 5月28日#02
闘技士には、いろんな人がいる。
金持ちで、自費で試合に出場する人もいれば、貧しい家庭で育ち、一攫千金を狙って戦いに挑む人もいる。
あと、俺みたいに、純粋に戦いが好きだから出場する人もいる。
いずれにせよ、試合に出るための参加費は馬鹿にならない|(もし遠隔地に住んでいれば、旅行費もかかる)ので、たいていの人にはその資金を負担してくれるスポンサーがついている。
――まあ、そのスポンサーもいろいろいて、俺のスポンサー――ノベル・アーサー氏――は、契約した選手のマネージャー役も務めていた。
そのアーサー氏は、開口一番にこう言った。
「……あんた、一体何人周りにはべらして、うちの事務所に来てるのよ?」
「え、えっと……」俺の顔が引きつった。「こ、この人たちは、しょ、証人というか、友だちというか……」
「あの、驚かせてすみませんね」テンが前に出てきた。「僕たちは、彼と一緒に旅をしている者です。何も悪いことはしていないので、そこは……」
「……何だ、この野菜しか食べてなさそうな優男は?」
「それ、おやじギャグですか……?」
テンが笑顔を引きつらせながら、後ろに下がった。
「まあ、とにかく、」俺は深く息を吸った。「俺は、この人たちから魔術師対策のヒントをもらおうとして旅をしていて、別に遊んでいるわけでは……」
「……言い訳は、それだけ?」
「い、言い訳って……そもそも俺、ひと月くらいは試合の予定がなかったから……」
「だからって、半月も音沙汰なしで済むとでも?」
「い、いちおう、出発した時に電話はかけましたから!ここに!」
「……あ。私ちゃんと見てたよー」
レイが雰囲気にそぐわず、のんびりとした口調で答えた。
「電話かければいいってものでもないでしょ?」
アーサー氏は、椅子の背もたれに寄りかかった。
「だいたい、ひと月に1試合しか出られないグラディアトルが、旅をしただけで魔法に強くなった気分でいるのは、いかがなものかと思うけど?」
――ネチネチ、ネチネチ。
『でもですねー。ワタクシが見守っている間にも、カイトさんは少しずつ成長してまして、きっと自力で解決策をさが……』
「少しずつ?私は『次の試合に勝てなければ支援を打ち切る』と言ったわよね?それに間に合うのかしら?」
『………………』
――神様さえ黙らせるねちっこさ。
「……まあ、いいわ。とりあえず、次の試合の日程は決まってるわ」アーサー氏は、机にどんと資料の紙束を置いた。「せいぜいその空っぽの頭で、対策でも何でも考えておきなさい?」
スポンサーでマネージャーでもあるって、何か変わっていますが、要は選手たちを全面的にサポートしてくれているってことです。意外とアーサー氏のような人は、そこそこいるらしいです。




