136話 5月27日#02
俺たちが車内販売の軽食|(味はまあまあ)を食べていると、車窓に見覚えのある街の風景が見えてきた――黒い高層ビルが立ち並び、その間から立ちのぼる黒い煙が見える――ウラヌスだ。
「久しぶりに見た街並みだな」
『そうですね。ここを離れてから、約2週間経ってます』
それを聞いたテンが「ん?」と首を傾げた。
「君たち、ウラヌスに来たことあるんだ」
「俺たちが石を求めて、初めて来た街だな」俺は窓の外をじっと眺めた。「ここでもいろいろあったな……」
『そうですねー』ピエール33世は黄色く光った。『エラさんたち、元気にしてますかねー?』
その時いなかったメンバーに、俺たちがどんなことをしていたのか話しているうちに、列車はスピードを落とし始めた。経由地として、少しの間ウラヌスに留まるようだ。
「ちょっと探検してみる?」
テンの言葉に、リアは相槌を打った。
「いいわね♪1時間くらい止まるみたいだもの。車内にいたら退屈しちゃうわ!」
テンが、時計のアラームを出発10分前に設定してから、俺たちは下車して、懐かしの転送球に乗った。
「へえ、面白いねえ」
「何だ、このへなちょこな乗り物は?」
「不思議……パイプの中通るの、面白い……」
「それにしても、ずいぶん陰気な街よねー。太陽の光が、地面まで届いてないじゃない」
そして、トランスボールの向かった先は、見覚えのある豪華な部屋だった。階段があり、舞踏会の会場だった大広間にも通じている部屋だ。
今日は特にイベントもないようで、部屋にいる人の中に正装している人はほとんどいなかった。テンが、めちゃくちゃ浮いている。
「思えば、何でテンはいつも正装してるんだ?」
俺がテンに訊ねると、テンは満面の笑みで答えた。
「それが、僕のアイデンティティだから!」
「……これは、尋問しても意味ないやつね」
リアは呆れたように首を振った。
「でもなあ。何か動きにくそうだし、特に利点は感じないんだけど……?」
「遠くにいても、僕だってすぐわかるんじゃん。だから、僕のアイデンティティなんだよ!」
――リアの言うとおり、訊き続けてもしょうがない気がする。俺は質問するのを止めた。
俺たちは、階下の土産物店も含めてあたりを散策した後、列車のプラットフォームへと戻って、すぐに車内へ乗り込んだ。




