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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ケレス‐アトラス編

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135/372

135話 5月27日#01

 翌日。


 俺たちは指定されたとおり、午前10時頃にヴィクトリア駅にやって来た。


 そこには既にソフィアがいて、俺たち|(リアとピエール33世を除く)に、1人1枚切符を渡した。



 「君たちは素朴な感じが好きそうだし、一番安い3等の席にした」と、ソフィアは説明した。「午後早い時間に、ケレスへ着くはずだ。それまで、列車の旅を存分に楽しむといい」


 『ソフィアさん。いろいろお世話になりました。ありがとうございます!』ピエール33世はピンク色に光った。『このご恩は、一生忘れません!』


 「ああ、そうだな」俺はソフィアさんと握手をした。「本当に、ありがとうございました!」


 「じゃ、また会えるといいわね♡」


 「それまで、お元気で!」


 「どーも、ありがとー」


 「また……連絡するね……」


 「……貴様ら、行くぞ」


 「みんな、達者でな」



 ソフィアはニコッと笑ってから、小さく手を振り、その場から去っていった。






 いつも遠くから見ていた蒸気機関車が、目の前にある。


 俺はそれだけで、何だかワクワクしていた。



 「すげー!やっぱカッコいい!」



 黒くてツヤツヤした先頭車両の煙突からは、シューッと蒸気が吹き出ている。


 その様子を間近で見て、めっちゃ感動した。大きな車輪とか、鉄板どうしを繋げる鋲(びょう)とか、細部までじっくり見ることができて、俺は1人ではしゃいでいた。



 ――何だろう。この重厚な感じに興味を惹かれる。



 「お!」



 その車両の中にいたおっさんが、こちらへ振り向いた。



 「君は列車に乗るの、初めてかい?」


 「はい!」俺は思わずにやけていた。


 「すごいだろ!」おっさんはニカッと笑った。「この真っ黒な車体の姿をじっくり見てから、目的地までの車窓の風景でも楽しんでな!」


 「はい!」


 「……はーい!カイト君、こっち向いてー!」



 なんだろうと振り向くと、テンが指で長方形を作っていた。



 ――つまり、写真を撮られていた。



 「……やー!いい写真だねー!」


 「え!?どんな?」


 「教えないよー!」



 テンは、俺の手の届かない高さまで、現像した写真を掲げていた。



 『あ!なかなかいい写真じゃないですか!』ピエール33世が写真を覗いて、黄色く光った。


 「いや!だからっ!俺に見せろよ!」


 「やだよー!」


 「ねえ、あんたたち、」リアがピエール33世に乗っていた。「そろそろ急がないと、列車に乗り遅れるわよ!」



 どうやら女性陣は、既に列車に乗りこんでいたらしい。俺は、名残惜しく感じてもう一度先頭車両を見てから、3等車に向かって歩き出した。






 俺たちが乗ったのは、一番安い車両のはずだったが、なかなか洒落た感じの木の座席が並んでいた。


 クッションも程よく柔らかく、座り心地がいい。俺はテンの向かいに座ると、窓に近づいて外の様子を見た。


 乗降場(プラットフォーム)には、まだ人がたくさんいた。荷物を運んでいる人も、高貴な服に身を包んだ人も、車内の誰かと話をしている人もいた。


 やがて時間になると、汽笛が鳴った。蒸気機関車が大きな低い音を立てて、ゆっくりと走り出した。



 『おおー!』ピエール33世が嬉しそうにピンク色に光っていた。『これはなかなか面白い感覚……!』


 「……だんだん速くなってく……」通路を隔てて隣の席に座っているソラが、窓の外を見ていた。「もう駅から離れた……」



 俺は、窓の外を食い入るように見つめた。列車がどんどん速くなって、建物や木などが一瞬で後ろへと過ぎ去っていく。



 「何かこういうの、やっぱワクワクするな!」


 「僕も、そう思うね」テンは、目を細めて車窓を眺めていた。「君たちに会うまでは、こんな感覚なかったな……」


 「……え?」


 「あ、気にしないで」テンは目線を車内に向けた。「ところでレイさん、君は……」



 ――レイは、本を読んでいた。



 「……安定してるな」



 俺が苦笑いしていると、テンは帽子を脱いで、手でくるくる弄んだ。



 「この気持ち……ホント、君たちと会うまで知らなかったな……」



 テンは、嬉しそうに見えて、少し物悲しげな顔をしていた。


 テンの過去に何かあったのだろうか?そんなことを思いながら、俺は窓の外の方にまた目を向けた。

テンとカイトは、身長差が10センチ弱あります。

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