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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
トリトン‐ヴィクトリア編

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134話 5月26日#05

 結局、軍のみなさんが動く間もなく、俺たちはセイレーンをほとんどやっつけてしまった。


 残ったわずかなセイレーンたちは、海の彼方へと消えていった。



 「君たち、何者……?」


 『やったー!快勝ですね!』


 「ところでそれ、どうするつもりだ?」



 俺は、テンの巨大投網を指さした。



 「……海へ放しちゃおう!」テンはそう言って、ソラの方を向いた。「ソラちゃん、お願いできる?」


 「……了解……!」



 ソラがそう言うと、ソラの腕に、ゴーレムの腕を小さくしたような籠手が現れ|(軍のみなさんが騒然とした)、投網を掴んで海の彼方へと投げ飛ばした。



 「おーい!」レイが帰ってきた。「何かセイレーンの死体が海にたくさん浮かんでるんだけど、どうする?」


 「……燃やせ」


 「わかった……『インフェルノ』!」



 海の上が、一面赤黒い炎に覆われた。



 「貴様の火力は、やはりおかしいな」モルガンはレイを睨んだ。


 「……じゃ、宿へ戻ろうか」


 「……いやいや、ちょっと待って!」軍の指揮官は、俺たちの前に立ちはだかった。「君たちは一体何者なのかね?あれだけの数のセイレーンを片付けるなんて、ただ者じゃ……!」


 「よせ。彼らは好きにさせておくといい」



 指揮官さんより立派な紺の制服に身を包んだ、推定年齢50歳代の男性が近づいてきた。



 「で、ですが!」


 「彼らのことは、政府が把握している」紺の制服の男性が言った。「それ以上関わると、ろくなことにはならない」


 「……『政府が把握している』?」俺は眉をひそめた。


 「私が上の者に連絡する。君たちは元の配置場所に戻ること。いいね?」


 「「「はっ!」」」



 部下たちの返事を聞いた男性は、こちらを振り向いた。



 「モンスターを退治するのはいいが、衆目を集めるんじゃないよ。いいね?」


 「は、はい……」



 男性は、その場を去っていった。






 「……何か、いいことしたはずなのに、注意されちゃったね」


 「まあ、派手であったことは、認める」



 俺たちは、宿の一室に集まって話し合いをしていた。



 「俺は『政府が把握している』って言葉が気になる。政府がどこまで俺たちのことを知っているのか……」


 「うむ」レイは頷いた。「政府は私たち星霊使いには無関心だと思っていたが、それなりに探っているようだな」


 「ここで軍にまで絡まれると、余計めんどくさいわよね」


 「……うん……これからは、派手な行動は慎んでやっていこう……」


 「……とはいえ、敵がいるってことは、必然的に戦わなきゃいけないわけで、」俺は天井を見上げた。「全く目立たないようにするのは無理だよな」


 「軍の人も、あたしたちの手伝いをしてくれればいいのに!」



 リアが不満を口にすると、テンはぼんやりとつぶやいた。



 「もしかしたら、何か理由があるのかもね」


 『そのあたりのこと、モルガンさんは知りませんか?』



 ピエール33世は、緑色に光りながらモルガンに訊ねた。



 「なぜ我に話を振る」モルガンは、ふんと鼻を鳴らした。「人間の都合など、我が知ったことではない」


 『……ですよねー!』


 「わからないまま話し合っててもしょうがないし、そろそろ寝るか」俺はあくびをした。「明日は予定もあるんだし、早めに寝て……」


 「そういえば、」モルガンはぎっと俺を睨みつけた。「なぜ我が人間と同じ部屋で寝なければならないんだ?」


 「だから、説明しただろ」俺はふうと息を吐いた。「俺たちそこまで金持ちじゃないから、2部屋までしか借りられないの。男子部屋と女子部屋で1つずつ。だから、モルガンはレイやソラと一緒に寝ろよ」


 「……いやだ。貴様ら全員1つの部屋で、まとまって雑魚寝しろ」


 「んな無茶な……」


 「まあ、それはそれで楽しそうだけどね」テンは苦笑いをした。「やっぱりふかふかのベッドで寝たほうが、気持ちいいんじゃない?」


 「ふん。我にはそんなこと……」



 その時モルガンの顔に、枕がぼふっと当たった。ふと飛んできた方を見ると、そこにはレイがいた。



 「……すまん。手が滑った」


 「貴様!」モルガンは、枕をレイに投げ返した。「我を侮辱するなど、恥知らずめ!」



 今度はレイの顔にぼふっと当たり、レイはむむむと難しそうな顔をした。



 「……じゃあ、次はカイト」



 突然、枕が俺に向かってきた。



 「いきなり枕投げ始めるな……ほら、テン!」


 「あはは!何か楽しいね……じゃあ、次はソラちゃん!」


 「……『パワーガード』」


 「うお!それ、反則だぞ!」


 「また、我に投げるでない!」


 「『ウールプロテクション』!」


 「ちょっと!部屋中モコモコになっちゃったじゃない!」


 『みなさん、楽しそうですね〜!』



 なんだかんだではしゃぐ俺たち。この日はそんな感じで、終わりを迎えた。

どうも、イェリナ国軍が星霊使いたちに介入できないのは、昔、『軍』と『星霊使い』が衝突して、国全体がめちゃくちゃになりそうになった(のを、ギリギリで回避した)のがきっかけだそうです。


でも現状は、結局街がめちゃくちゃになっています。これからどうなるんでしょうか?

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