133話 5月26日#04
――その夜に、俺たちはまた災難に遭った。
俺たちは昨日もしていたように、海岸でのんびりと海風に当たっていた。
しかしにわかに、あたりが騒々しくなった。暗くてよくわからないが、沖の方から、何かの群れがやって来ている。
俺たちが「何だろう?」と話をしていると、後ろから声をかけられた。
「君たち、危ないから海から離れなさい!」
見ると、軍服を着た男性が、俺たちに話しかけてきた。
「あれは何ですか?」
「『セイレーン』の群れだ」
男性は指揮官だったようで、後ろにいる兵士たちに声をかけた。
「全員、構えたまま待機しろ。私が合図するまで撃つな」
兵士たちは全員、小銃を持っていた。
「さあ、君たちはこっちへ……」
「……ふん。あんなもの、我の敵ではない」
「何かいっぱいいるねー。燃やせばいいんじゃない?」
「……セイレーン……『鳥』形態と『魚』形態を使い分ける海のモンスターー……その歌声は、人を魅了し、互いに殺し合うよう仕向ける……」
「カイト!あんなの、やっつけちゃえ!あたしが肩から応援してあげる♪」
――人外が全員、何か言っている。
「……どうする?」俺は苦笑いした。
「あんまり目立つ行動しない方がいいからねえ」テンはニヤリと笑った。「さっさと片付けちゃう?」
「……は?」
指揮官は、俺たちをぽかんと見つめた。
『みなさ~ん!頑張ってくださ〜い!』
そのピエール33世の声と同時に、レイとモルガンが暗い空に向かって飛び上がった。そして、
「『クリムゾンピアシングブレス』!」
「『ダブルドラゴンレイディアンス』!」
2人のブレスと光線が、多数のセイレーンにぶち当たった。
「……は?」
指揮官がまた声を上げた。
「ちょっと、君たち……」
そうこうするうちに、レイとモルガンの攻撃をくぐり抜けたセイレーンたちが、こちらに近づいてくる。
「私が、セイレーンの声を打ち消すから……2人も頑張って……!」
ソラはそう言うと、「『ヘリオスフィア』!」と叫んだ。
すると、俺とテンの周りに、球状の膜のようなものが現れた。
「ほら!ぼーっとしてないで、早く行きましょ!」
リアがそう言うと、俺の手の中に、あの骨の弓と矢が現れた。
「あたしが適当に数増やすから、あんたは適当に矢を放って!」
――確かに暗いが、相手が多いので、適当に矢を放っても当たるかもしれない。
そう思いながら俺が矢を放つと、リアが「『アロースプリッター:ミレ』!」と叫んだ。
すると、矢の数が一気に増えた。数が多すぎて、数え切れない。それぞれの矢は別々のセイレーンに当たり、大量のセイレーンが海へぼたぼた落ちていった。
「じゃあ、最後の砦は僕が受け持つということで!」
テンは、何やらカッコよさげなことを言って、いつもの箱から『何か』をいくつか取り出した。
「『何てことはないただの巨大投網』!」
鳥形態のセイレーンだけでなく、魚形態のセイレーンも、巨大投網に引っかかって動けなくなっていた。
「何か、すごそうな、すごくなさそうな……」
「ほら!また来たわよ!早く次の矢を!」
「……お前はやるつもりないんだな」
俺は、肩の上にいるリアの姿を見て、ため息をついた。




