132話 5月26日#03
「……ふうむ。『列車』とは、かように珍しいものなのか?」
ソフィアと別れて学校の敷地外に出ると、モルガンは首を傾げながら言った。
「……まあ、自分の翼でどこへでも行ける人にはわからないかもしれないけど」
「いや……我はそこまで飛行能力は高くない」
俺は、モルガンの顔を見た。
「何だ?我が外国へ行かない理由がわからなかったのか?」
「ま、まあ、そうだよな……」俺は曖昧に笑った。
「私は、蒸気機関車より速く飛べるけど?」
「……レイは、それ以前に方向音痴だからダメ」
――昨日、宿の中へ入った時に、俺と会う前のレイがどのような旅をしていたのかを聞いたのだが――それがあまりにひどかった。
故郷から離れた後、西に移動して、ほとんどその場でぐるぐる周り、そこから東へ戻って山の中で遭難し、かと思うとその後、海に出て嵐に遭い……
――そんなんで、よく今まで生きてこられたな。
「まあ、それはいいとして、」テンは空を見上げた。「今日これからはどうする?」
「そりゃ、もちろん……」
「『観光』に決まってるじゃない!」
『わーい!』
主に俺とリアとピエール33世が喜んでいた。
「そのような無駄な時間、我は浪費するつもりは……」
「まあまあ、いいんじゃない?」テンは、モルガンに向かってウィンクした。「『無駄な時間』が、後々人生の糧になることもあるんだし」
「観光地……」ソラがガイドブックを見ている。「ここ、古い城壁がある……昔テルメアと戦争していた頃の、名残……」
「じゃあ、そっちへ行ってみるか!」
『「おー!」』
「私が飛ばしてやろうか?」
「だから、レイは方向音痴だからダメ」
城壁は、今は一部しか残っていないが、当時は海岸線沿いに、街を囲むように存在していたらしい。風雨にさらされつつも、未だに崩れずに残っている丈夫さには、目を見張るものがある。
城壁を見た後に俺たちが向かったのは、安定の博物館だった。どうやらこのあたりには、レジェンダリが台頭するよりはるか昔から人が住んでいたらしい。彼らの使っていた石製の斧の刃や矢じり、あと動物の骨を使った装飾品などを見て、「へえー!」と感心したりしていた。
その後、遅めの昼飯を食べた俺たちは、土産物店を冷やかしたり、市場を練り歩いたり、まさしく『観光』を楽しんでいた。
「我はこんなもの、興味ない」
モルガンは、不満をあらわにした。
「そう?結構楽しそうだけど?」テンはニコッと笑った。「なんだかんだでちゃんとついてきてるし」
「貴様……覚悟はできてるんだろうな?」
――まあ、こんな感じで、俺たちはその日の夜を迎えた。
石器時代→レジェンダリ(ドラゴン)時代→神様時代、の順番らしいです。




