131話 5月26日#02
今日は平日だったので、学校に子どもたちが来て、授業を受けていた。
ソフィアは俺たちを歓迎して、校長室|(わりと質素)へと招き入れた。
「さて、」ソフィアは、昨日の影響もなく、けろっとしていた。「まず、君たちは何の星座の『石』を持ってる?」
どうせソフィアなら知ってるだろうに……と思いながら、俺は数えた。
「えっと……てんびん座、みずがめ座、やぎ座、いて座、しし座に……おひつじ座?」
「……あ、ごめんなさい……」ソラは小さな声で言った。「あたしの『石』……故郷に置いてきた……」
「じゃあ、5つ?」
「……私も自分の石は持ってない」
俺はレイの方を見た。
「……何で?」
「知らん。皆既日食の時私の近くに落ちてきたのは、『てんびん座の石』だけだ」
――言われてみると、そうだったような気がする。
「……じゃあ、4つ?」俺は頭を抱えた。「まだ3分の1しか集まってねえじゃん!」
「……私の『おとめ座の石』はここにある。持っていって構わない」
ソフィアはそう言って、テーブルに『石』を置いた。まるで麦の穂のような明るい茶色の光を放っている。
「じゃあ、5つか……」俺は腕を組んだ。「ソラの石も含めると、半分……」
「この短期間でそれだけの数集まれば、なかなか悪くはない」
――確かに、集め始めてからまだ半月しか経ってないからな。
「それを踏まえた上で、私が考える次の目的地は……ケレスだな」
ソフィアの言葉に、俺は目を見開いた。
「君には確認することがあるのだろう?」ソフィアは俺に向かって言った。「それに、ソラの故郷と、さそり座の星霊使いの故郷へ行くのも容易い。大きな都市だから『黄金の林檎』についての情報もあるかもしれない」
「……なるほど」レイは頷いた。「利点は多そうだな」
「我も不満はない」と、モルガンは言った。「しばらく、貴様らの旅に同行してやろう」
――まあ、俺もそれが一番いい気がする。
「じゃあ、もし反対意見がなければ、ケレスへ向かうということで」
「……それはいいんだけどさ、」と、リアは口を挟んだ。「どうやってケレスまで行くの?」
「そりゃ……船?」
「……いや。列車に乗るのが一番早い」
俺はソフィアの言葉に驚いた。
「でも、切符を買う金が……」
「切符なら、私が人数分揃えよう」
一瞬、部屋が静かになった。
「え、じゃあ……」
『やったー!初の列車旅行ですね!』ピエール33世が、明るいピンク色に光りながら、その場でくるくると回った。『ワクワクします!あの蒸気機関車を間近で見られると思うと……』
「あたしも初めてよ」と、リアは言った。「全然じいやばあやがユピテルの街の外へ連れて行ってくれなかったから……」
「あたしも初めて……」
ソラの顔が、少し緩んでいる。
「僕も乗ったことがないなあ……」
「……君は乗ったことあるんだろう?5年ほど前に」
「雰囲気壊すようなこと、言わないでもらえます!?」
テンは、悲しそうに顔をうつむかせた。
「確かに、俺もずっと乗ってみたかった」俺も顔がニヤけていた。「『速い』って聞くけど、どのくらい速いんだろう?」
「……ま、そのあたりは乗ってからのお楽しみということで」ソフィアはすっと立ち上がった。「明日の午前10時に、駅で待ち合わせしよう。10時45分に、ケレス行きの列車が出発する予定だ」
『了解です!』
何だか、ピエール33世が一番楽しみにしているように見えた。
列車(3等車)の乗車切符は、1人3500*(スタ)で売ってます。切符が必要なのは5人(カイト、レイ、テン、ソラ、モルガン)なので、締めて17500*(約17500円)。カイトがお金の心配をしたのも頷けます。




