表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
トリトン‐ヴィクトリア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/123

118話 5月25日#04

 蔓が一斉に引っ込んでいき、講堂は元どおりの姿を取り戻した――ソフィアがあれだけの攻撃をしていたのに、壁や床や天井には傷一つついてなかった。


 ソフィアは壇上から下り、入り口付近でぼーっと突っ立ってる俺たちのところまでスタスタとやって来た。



 「……治してやれ」


 「え?僕?」テンは目を瞬かせた。


 「そうだ」ソフィアはちらりとモルガンの様子を見た。「『みずがめ座(アクアリウス)の石』の力で治せるはずだ……私は忙しいので、あとは任せた」



 それだけ言って、ソフィアは講堂から出ていってしまった。



 「……と言われても、」テンは戸惑っていた。「石の魔法って、どうやって使うの?前は勝手に発動したみたいだけど」


 『えっとですね、』ピエール33世がオレンジ色に光った。『手品の念力と一緒です!『治れ〜!』って、心の中でパワーを送るんです!』


 「手品は『念力』使わないんだけど」



 テンは苦笑いしながら、モルガンに少し近寄った。


 そして床に膝をついて、小さな声で何事かつぶやいた。


 すると、モルガンの体から流れ出た血が止まり、みるみるうちに切り傷も擦り傷も消えてなくなった。はがれていた鱗も元のように皮膚にくっついた。


 それから数秒たつと、モルガンの体から鱗と尾が消えた。モルガンはゆっくり起き上がると、テンを睨みつけた。



 「余計なことを……」


 「素直に『ありがとう』って言えばいいんだよ」テンはゆっくり立ち上がり、モルガンに手を差し出した。



 モルガンはそれを無視し、自分の力で立ち上がった。



 「……じろじろ見るな」



 俺たちがじっと自分を見ていることに気づき、モルガンは俺たちの方にも鋭い視線を向けた。



 「貴様らにもう用はない。追いかけてくるんじゃないぞ」



 モルガンは、壁に立てかけてあった日傘を取ると、そのまま外へ出て、どこかへ飛んでいってしまった。



 「『追いかけるな』と言われると、追いかけたくなるよねえ」


 「でも、今はそっとしておきましょ」


 「……そうだね……」


 「……じゃ、そろそろ昼飯食うか」


 『昨日買った具材でパエリア作りましょー!』


 「「「「「おー!!!!!」」」」」



 俺たちは掛け声をかけながら、学校を後にした。






 ピエール33世は空き地を見つけると、そこに『ピエールキッチン』を広げた。



 『さあ!皆さん、手を洗ってくださ〜い!』


 「……俺たちも作るのか」



 俺たちの準備が整うと、ピエールキッチンは指示を始めた。



 『カイトさんは米を洗ってくださ〜い!力を入れないように気をつけてくださいね!』


 「……あー、はい」俺は素直に返事しておいた。


 『レイさんは調味料の用意を、テンさんは野菜や烏賊(いか)(たこ)を食べやすい大きさに切ってください。ソラさんは貝を洗って、リアさんは……』



 しばらく間があった。



 『……パセリでも、ちぎりましょうか?』


 「オーケー♪任せて♪」



 リアは上機嫌に、パセリが入っている皿に向かった。



 『ワタクシは、手に入れた魚をおろします!』


 「……え?」



 見ると、台の中央にまな板と包丁が現れ、ひとりでに動き出して、まな板の上の魚の鱗を取っていた。



 「「「「「………………」」」」」



 ――どうやら、『神の力を使って一瞬で魚をおろす』ということはしないらしい。というか、俺の予想ではできないんだと思う。



 「……神様って、意外と不便なんだね……」と、テンはつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ