119話 5月25日#05
――そんな感じで料理して、無事パエリアができた。
俺たちがテーブルを囲み、わいわい話しながらパエリアを食ってると、スタスタときれいな姿勢でこちらに歩いてくる女性が現れた――ソフィアだ。
「……先ほどはすまなかった」ソフィアは開口一番にそう言った。「本当に急ぎの仕事があって、君たちに構う時間がなかった」
『大丈夫ですよ〜!気にしていませ〜ん!』
「……あの、失礼ですが。もしかして『索敵能力』みたいなの、持ってます?」
俺が遠慮がちにそう訊ねると、ソフィアは「うむ」と頷いた。
「そうだな。きちんと話しておかないと、あまり気持ちがよくないだろうな」
ソフィアは深く息を吸って、こんな説明をしてくれた。
「私は人の心が読める……目の前にいなくても、その人の考えていることがわかる」
それからソフィアは、俺に向き直った。
「……そして君の言うとおり、近くに来ている人の気配も認識できる。その人が誰なのかもわかる」
――もしかしたら、星霊使いの能力の中で、一番恐ろしい能力かもしれない。
「……さて、君たちに話さないといけないことはいろいろあるが……まずは、人目につかないところへ移動しよう」
「あ、でもごはんが……」
「ゆっくり食べていて構わない。私がこれから行く場所をソラに教える」
そして、ソラの耳元で何かを囁いてから、ソフィアはその場を立ち去った。
昼飯を食べ終えて、ソラにその場所を案内してもらうと、今度はレンガ造りの大きな建物へたどり着いた。
紙が貼ってあるボードが入り口にあり、それによると、ここにはさまざまな資格を持つ専門家たちの事務所がいくつか入っているようだ……例えば、弁護士とか、税理士とか、カウンセラーとか……
「今から、ここに行く……」
ソラが指差したのは、経営コンサルタントの『フスカ』という人の事務所だった。
建物の中に入ると、1階にはスーツをビシッと着こなした人たちがいて、大きな部屋で会議を開いていたり、忙しそうに書類に何かを書き込んでいたりしていた。テンはともかく、他のメンバーは、ここではめっちゃ浮いていた。
自動昇降機に乗って3階に行き、ソラに続いて右側奥の扉に近づいた。
ソラが扉をノックすると、「どうぞ」という声が聞こえてきた。
「……失礼します……」
中で待っていたのは、ソフィアと、もう1人の女性だった。たぶんフスカさんだ。
「私の会社の経営を助言してくれるフスカさんだ」と、ソフィアは説明した。「しばらく面談室を使わせてもらうことになった。中に入って待っててくれ」




