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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
トリトン‐ヴィクトリア編

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112/122

112話 5月24日#06

 手に入れた弓は、普段リアが持っていてくれることになった。この時初めて知ったが、リアは物の大きさを自由に変える能力を持っているらしい。



 ――やっぱり本人がこんなに小さいのは、自分自身にその魔法をかけているからだよな。



 確かに、リアは弓の貴重さを理解してくれているし、レイの大量の本に潰される心配もない。ソラも星霊使い特権の収納庫を持っているはずだが、やはり持ち運ぶのは、リアが一番適任だろう。


 気が向いたら手入れすると言ってくれたし、ここはリアを信じてあげよう。






 俺たちはあちこちの店を巡り、4時近くになり、定期船が乗り入れる船乗り場目指してとことこ歩いていた。一昨日は雨が降っていたが、今日はすっきりと晴れていた。


 遠い水平線も、きれいに見える。



 「ああ。『何も起きない』って、こんなにいいことなんだな」


 『ホント、平和ですねー!』


 「たまにはこういう時間も必要だな」



 ぼけーっとしているうちに船乗り場にたどり着き、定期船に乗船した。



 「いやー。ホント何もないね」


 「平和……大事……」


 「そうよねー♪何より、楽ちんよねー♪」



 みんなで同じようなことを言いながら、割り当てられた船室|(3等の8人部屋)に入り、カードゲーム|(神経衰弱)をやっていると、船室の中に誰かがやって来た。



 「貴様……ここにいたのか」



 振り返ると、そこには女性がいた。


 その人はソラと同じように真っ黒な服を着ていたが、ソラとは異なり、メイド服ではなさそうだ。どちらかというとゴツい感じがする。


 それはたぶん、腰についている大きな鎖とか、肩についている小さな棘状の飾りとか、硬そうなアームカバーとか、靴底の高い靴とか、そういうのがあちこちにあるからだろう。


 その人は長い金髪で、目が赤かった。そして手に、なぜか黒い日傘を持っていた。日焼けが気になるのだろうか?



 「これから『おとめ座の星霊使い(ウィルゴ)』に会いに行くのか?」



 その女性の目線の先を見ると、ソラがいた。ソラは下を向いていて、少し怯えているように見える。



 「それから……貴様らは何だ?」



 もう一度女性の方を向くと、バチッと視線が合った――睨まれた。



 「なぜ、その女といる?」


 「僕たち、友達でーす」俺が何か言う前に、テンが挑発的なトーンでそう言った。


 「まあ、そんなところだ」俺は肩をすくめた。「どういう関係か知らないが、あまり高圧的な態度をとらねえ方が身のためだぞ」


 「……ふん。そうか」



 女性は鼻を鳴らすとくるりと後ろを向き、どこかへ行ってしまった。



 『「「「……今の誰?」」」』



 俺たちがソラに訊ねると、ソラは小さな声で答えた。



 「モルガン……ウィルゴに会いたがっている……『レジェンダリ』」



 ――ん?何だそれ?



 みんなが首を傾げる中、ピエール33世が1人、『ひええええ!!』と反応した。



 『『レジェンダリ』!』ピエール33世は赤い光を発した。『みなさん!あの人はドラゴンですよ!!』


 「「「…………え?」」」


 「大昔、世界を支配していたドラゴン……」と、ソラはつぶやいた。「月の神たちが生まれた時に、ほとんど滅ぼされた……『レジェンダリ』の生き残り……」

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