111話 5月24日#05
探してみると、意外といろんな店が見つかった。
捕れたての魚を出す料理屋だけではなく、その魚の人形や絵など、土産物を売っている店もあった。
それだけではなく、漁で魚と一緒に捕れるモンスターが食べられる食堂もあった。さらに……
「『モンスターの皮や骨を加工した道具を売ってます』?」
とある道具屋に、そう書かれた貼り紙があった。
中に入ると、予想以上に種類が豊富で、俺たちは興味津々に商品を見て回った。
『おお!』ピエール33世が黄色く光った、『サメのモンスターの皮を使ったすりおろし器!すごく目が細かいっ!』
「へー。海鳥のモンスターの羽根を加工したボールペンか……」テンはくすっと笑った。「見た目が昔の『羽根ペン』みたいでカッコいいね!」
「……ん?これは……」
俺は、壁に立てかけてある商品を眺めた。それは、どこからどう見ても弓だ。
「『モンスターの骨でできている』……て、骨で本当に矢を飛ばせるのか?」
「確かめてみますか?武器を試せる野外練習場が裏にありますよ」
物腰の柔らかい店主が微笑んでそう言った。
それを聞いた俺は、リアを連れて|(やっぱり弓に興味があるらしい)その練習場にやって来た。
そして早速、矢をつがえて撃ってみた。
――ズダンッ!!
矢は一直線に的に向かって飛び、大きな音を立てて真ん中に突き刺さった。
その速さに、俺は驚いた。
「思ってたより、ずっとパワフルだし、しなり方も木の弓と全然違う……」
「……ていうか、あんた弓もできるんだ。一発で的のド真ん中に当てるなんて……」リアはそっちに驚いていた。
「ああ。俺、武器はだいたい全部使えるから……」俺はあんまりリアの話を聞いていなかった。「これ、丈夫そうだし……モンスターの骨って、こんななんだ……」
何本か撃ってから、表に戻って店主に感想を言った。
「……でしょう?意外と骨を加工すると、強い武器が作れるんですよ」
「そうなんですね。ちなみにいくらなんですか?」
――その答えを聞いて、俺は愕然とした。
「あ、でもお兄さんはかなりの達人みたいなので、少しまけてあげますよ」
「『少し』なんて言わないで!」突然リアが興奮し始めた。「その弓とカイトは、絶対合うと思うの!さっき見てたけど、あたしの師匠だって、あんな矢は撃てないと思ったもん!」
俺は目を丸くして、自分の肩の上にいるリアを見た。
「そうですね」店主はニコッと笑った。「矢の音は、ここまで聞こえておりました。きっとあなたなら使いこなせると思います」
「でしょ!だからせめて半額以下に……」
「……タダであげますよ」
「「え!?」」
俺とリアはきょとんとした。
「……実はその弓、強すぎて普通の『弓術士』じゃ、まともに矢が撃てないんですよ。だから相当長く店頭に置いてますけど、全然売れなくて……」
「えー、そうなんすか……」俺、そんなすごいことしてたんだ。
――てか、だから矢を撃った音だけで、俺を評価してくれているのか。
「ちゃんと手入れすれば、結構長く使えます。どうです?矢も1束お付けいたしますが」
「そ、それで店主さんがいいなら、俺、それもらいます」
「……お買い上げ、ありがとうございます!」
なんだかちょっとむずがゆい思いをしたが、こうして俺はモンスターの骨の弓を手に入れた。
「へー、それ珍しいの?」
「珍し……そうな気がする……」
「ワタシヨクワカラナイー」
『カイトさんが、剣でなく弓を使う姿……想像するだけでカッコいいですね!』
――他のメンバーの反応はこんな感じだった。やっぱり門外漢だと、この弓の価値はわからねえか……




