113話 5月24日#07~解説:レジェンダリとポムドール~
「……話がよく飲み込めないんだが」
俺がそう言うと、ピエール33世は『ですよねー』と小声で言った。
「そもそも、ドラゴンって変身能力あるのか?」
『えーっと、少なくともレジェンダリはそうみたいですね』
それからピエール33世は、俺の膝に乗って説明を始めた。
『実は、ワタクシたち『神様』が生まれる前、この世界を支配していたのは特別なドラゴンで、『レジェンダリ』と呼ばれていました』
そう言うとすぐに、ピエール33世は『あ、『レジェンダリ』は現代語訳です』と付け加えた。
『ただ、彼ら彼女らはとても凶暴で高圧的だったので、他のドラゴン、人、生物、モンスター全般、みんながとても怯えて暮らしていたんです』
それからまたすぐに、ピエール33世は『その様子は、現在残っている様々な遺跡に描かれていますよー』と付け加えた。
『そこで、星の女神さんが一計を案じまして、』
「『星の女神』?」
――前にも同じ名前が出てきた気がする。
『ええ。異世界にいる、聡明でとっても美しい女神さんです』ピエール33世は黄色く光った。『その女神さんが、レジェンダリを何とか押さえようとして誕生したのが『星霊使い』たちです』
「って、ことは、」俺ははっと気づいた。「もともと星霊使いって、ドラゴンを倒すためにいたってこと?」
『そうそう。カイトさん正解です!』ピエール33世は、今度はピンク色に光った。『で、当時の星霊使いさんたちが頑張ってくれたおかげで、ほとんどのレジェンダリは倒されたんです』
「でも、全員が倒されたわけじゃない……」と、ソラは言った。「今は『支配』してない……でも、何体か生き残った……」
『さっきのドラゴンさんは、彼らの末裔の1人……あれ?1頭?……だということです』
「あの人の名前は『モルガン』……ウィルゴから『ポムドール』の情報を得ようとしている……」
『あー。あれですね。『黄金の林檎』が生えているところですね』
「『ポムドール』?」
「『黄金の林檎』?」
ピエール33世とソラ以外は、みんな首を傾げていた。
『えっと。『ポムドール』って、すごーく貴重な『黄金の林檎』と呼ばれるリンゴの木が生えているところで……あ、食べようとしないでください。『黄金』なんで、めっちゃ硬いです!』
――どうやらその『林檎』は、色だけでなく材質|(?)も『黄金』らしい。
『『ポムドール』へ行くのは大変困難で、しかもそこをドラゴンが守っているという話です。たぶんレジェンダリです!』
「レジェンダリ……モルガンのお母さん……」
『そうそう!やっぱりレジェンダリで……えええ!?』ピエール33世はピカッと白く光った。『あの方、『ポムドール・ドラゴン』の娘さんなんですか!?』
「うん……」ソラは頷いた。「『黄金の林檎』欲しくて……探してる……」
「何となく事情はわかったが、」と、俺は口を挟んだ。「何でその場所の情報が、ウィルゴから手に入るんだ?」
「『おとめ座の星霊使い』が、『ポムドール』へ行くための『鍵』を持ってるから……」
「……じゃあ、何で『黄金の林檎』が欲しいの?」
『あー。あれですね』ピエール33世はまた同じ言葉を言った。『『黄金の林檎』を手に入れると、レジェンダリとしての『本当の力』が手に入る……って、噂がありまして』
「モルガン、レジェンダリとしての力を取り戻したい……だから、行き方を探してる……」
「そんな奴が、何で定期船にいるんだ?」
「たぶん……ウィルゴの居場所、バレた」
『「「「………………」」」』
――何だかまた、事件に巻き込まれそうな予感がする……
最後にモルガンの母が『ポムドール』の中に入ってから、当時のウィルゴが『鍵』を手に入れたようです。それから数世代の間、『鍵』は先代から次の代へと受け継がれ、現在のウィルゴが『鍵』を所持しているわけです。




