110話 5月24日#04
「おー!新しい街だー!」
「とりあえず……腹減った……」
トリトンの街は、今まで行った街とはまたちょっと雰囲気が違った。
カラフルな色に塗られた木造の建物が多く、湖には多くの漁船が並んでいる。ひときわ大きな灰色の建物があったが、どうやら魚市場のようで、昼間でも多くの人が集まって、今朝捕れたての魚介類を買っていた。
「へー」俺は遠くを見つめた。「湖のすぐ近くに海がある!」
「ここの湖……もともと海だった『潟湖』……ほとんど海水だから、海の魚が捕れる……」
「そーなんだー」テンは店頭の、氷の上に寝かされたタコを見つめた。
『大量の氷で冷やしてあるから、鮮度が落ちてませんね!』ピエール33世が嬉しそうに言った。『買いましょう!ワタクシが、腕によりをかけて調理しますよ!!』
「へえ。変わったロボットだねえ」
店のおばさんが、じっとピエール33世を見つめてつぶやいた。すると、ピエール33世は気まずそうに俺の後ろに隠れた。
俺たちは、魚市場の一角で昼飯を食べていた。そこには、『買った商品をご自由に焼いてみてください』という紙が貼ってあるコーナーがあり、焼き網がいくつか用意されていた。
そこで、買った魚や貝を焼いて、みんなで食べてみた。市場で買ってすぐだからか、ただ網で焼いただけなのにめっちゃ美味かった。
「うまうま!」レイも夢中になって食べている。
「定期船は、夕方5時出港だね」テンは、上着のポケットから何かを取り出した。「あと4時間……何してよっか」
「……それは?」
「ん?僕の時計」
テンが持っているのは、手のひらより少し小さいくらいの機械。円盤が何枚か重なってできていて、それぞれに時計と同じような針がついていた。
「えーっとね。これが現在時刻」テンはそう言いながら、一番上の円盤を見せた。「午後1時10分。昨日ちゃんと合わせたから、かなり正確な時間だよ」
それから、テンはその円盤をスライドさせて、2番目の円盤を見せた。
「これはアラーム。指定した時刻になると、音が鳴るんだ〜」
その下の3番目の円盤は、
「ストップウォッチ&タイマー。スイッチを切り替えると、どっちにもなれるんだよ!」
最後に、4番目の円盤を見せた。
「これは、世界一カッコいい僕の写真!キマってるでしょ!?」
「……とりあえず、便利な時計であることはわかった」俺ははあとため息をついた。
「スルーしないでよ、カイト君……」
それからテンは、はっと顔を上げた。
「そうそう!レイさんは、この写真どう思う?」
「……フツー」
「………………」
テンはため息をついて落ち込んでいたが、急に「あ!」と言って、時計をいじり始めた。
「4時半になったらアラームが鳴るように設定しよう!……ね?アラームが鳴るまで、みんなで散歩しない?」
「それ、いいわね♪」リアが食いついた。「気持ちをリフレッシュできそう♡」
「……行く……」ソラも頷いた。「観光、したい……」
「んー。まあ、みんなが行くなら、私も行く」
『ワタクシも、もちろん同行いたします!』
「オーケー!じゃあ全員で、この街を探検しよう!」
『「「「「おー!」」」」』
――ホントこのメンバー、ノリがいいよな。




