101話 5月23日#12
俺たちは、何とか次の階へ上れる階段を見つけた。
そして、その階の最初に入った部屋で……
――ガチャン!
今通った扉が閉まり、鍵のかかる音がした。
――ガコン!!
さらに前方に、猛獣用の檻が天井から下りてきて、その扉が開いた。
「これは……!」
「何かいる!!」
「あれは……まさか……!!」
まさかのまさか!猛獣の王と呼ばれる……
――ゴキさんだった。
それも、体長が人の背丈くらいある巨大な。
「「えええええ…………」」
俺とソラはドン引きしていた。
「あ……あんなモンスターいたのかよ……?」
「あたし、知らない……」
――一方、テンは。
「んんん…………とぉりゃあ!!!」
力いっぱい、大量の何かをゴキさんに投げつけた。
ゴキさんは触覚をピクピク動かし、その『何か』を次々に食べ始め、あっという間にたいらげてしまった。
――そして……
「キシシシシ……!!」
急に苦しみ始め、ひっくり返ってもがき始めた。
俺は、テンの方を振り向いた。
「今投げたのは……?」
「害虫駆除用の『ホイホイ』。僕には必須のアイテムさ〜……!」
カッコつけようとしているが、頬がピクピク痙攣している。
しばらくすると、ゴキさんは完全に動かなくなった。
「テンって、虫系の何かに対しては、俊敏に反応するな」
「僕はいつだって、俊敏だよ!」
俺とソラと、ソラが手を引くレイは、部屋の奥にある出口めがけて、一気にゴキさんの隣を駆け抜けようとした。
「マジでこれの横通るの?」
「他に方法あるかよ?」
俺はテンの服の袖を引っ張って、無理やりゴキさんの死体の横を通らせた。
「もう、何なんだここ……カジノじゃなかったのかよ……」
「遊戯室はもっと上にある……たぶん……」
「あんな怪物を飼ってるなんて、ここの領主趣味悪いね!?」
「疲れた……一生分くらい走った……」
俺たちがトボトボ歩いていると、突然天井から何かが落ちてきた。
「うわ!なんだ!?」
また何かとんでもないものが現れたのかと思ってよく見ると、上から降ってきたのは、リアをアームで掴んでいるピエール33世だった。
「おお!2人とも無事だったのか!」
『カイトさんたちも無事でよかったです!!』
「ひどい〜〜〜!!」リアは俺の肩に乗ると、いつものようにぽかぽかと殴った。「あたしを置いて行かないで〜〜〜!!」
「ごめんね!」テンはリアに目線を合わせて謝った。「でも、もう大丈夫!僕たちはもう、君から離れないよ!」
「ところで、」俺はピエール33世を見上げた。「お前の変身魔法は使えるんだな」
『ええ。そうですが?』ピエール33世は緑色に光った。
「レイたちは魔法が使えないみたいなんだが」
「あれ?……あたしも使えるけど?」
リアも不思議そうな顔をしている。
ふとテンとソラの方を見たが、2人とも首を振った。レイは壁にもたれかかって、顔が死んでいた。
「……てことは、地下に閉じ込められた時に、何らかの原因で魔法が使えなくなったんだな」
「……でも、この『石』の力は使えるんじゃないかな?」
テンの方を振り向くと、赤色の『石』を手にしていた――『みずがめ座の石』だ。
「さっき僕の吐血が止まったのって、これのおかげじゃないかなあ?」
『え!?血を吐いたんですか!?』
「うん。ちょっとだけね」
テンは顔を上に向けた。
「あの毒ガス吸った時、実はかなりクラッときてて、肩車してたレイさんを振り落としそうになってたんだけど、」
『そ!それは大変です!』
「……でも何か、すぐ治っちゃったんだよね。だからカイト君はちゃんと支えられて……うーん、振り落とせばよかったかなあ?」
「……首絞めればよかった」
『たぶん、テンさんの言うとおりだと思いますよ』ピエール33世はくるっとその場で回った。『『みずがめ座の星霊使い』さんには、再生能力がありますし』
「何かいいな、その能力」
「呪文の意味がわかる方が、ずっとすごいと思うよ?」
テンにそう言われて、俺は「そうか?」と首を傾げた。




