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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
バッカス編

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101/122

101話 5月23日#12

 俺たちは、何とか次の階へ上れる階段を見つけた。


 そして、その階の最初に入った部屋で……



 ――ガチャン!



 今通った扉が閉まり、鍵のかかる音がした。



 ――ガコン!!



 さらに前方に、猛獣用の檻が天井から下りてきて、その扉が開いた。



 「これは……!」


 「何かいる!!」


 「あれは……まさか……!!」



 まさかのまさか!猛獣の王と呼ばれる……



 ――ゴキさんだった。



 それも、体長が人の背丈くらいある巨大な。



 「「えええええ…………」」



 俺とソラはドン引きしていた。



 「あ……あんなモンスターいたのかよ……?」


 「あたし、知らない……」



 ――一方、テンは。



 「んんん…………とぉりゃあ!!!」



 力いっぱい、大量の何かをゴキさんに投げつけた。


 ゴキさんは触覚をピクピク動かし、その『何か』を次々に食べ始め、あっという間にたいらげてしまった。



 ――そして……



 「キシシシシ……!!」



 急に苦しみ始め、ひっくり返ってもがき始めた。


 俺は、テンの方を振り向いた。



 「今投げたのは……?」


 「害虫駆除用の『ホイホイ』。僕には必須のアイテムさ〜……!」



 カッコつけようとしているが、頬がピクピク痙攣している。


 しばらくすると、ゴキさんは完全に動かなくなった。



 「テンって、虫系の何かに対しては、俊敏に反応するな」


 「僕はいつだって、俊敏だよ!」



 俺とソラと、ソラが手を引くレイは、部屋の奥にある出口めがけて、一気にゴキさんの隣を駆け抜けようとした。



 「マジでこれの横通るの?」


 「他に方法あるかよ?」



 俺はテンの服の袖を引っ張って、無理やりゴキさんの死体の横を通らせた。






 「もう、何なんだここ……カジノじゃなかったのかよ……」


 「遊戯室はもっと上にある……たぶん……」


 「あんな怪物を飼ってるなんて、ここの領主趣味悪いね!?」


 「疲れた……一生分くらい走った……」



 俺たちがトボトボ歩いていると、突然天井から何かが落ちてきた。



 「うわ!なんだ!?」



 また何かとんでもないものが現れたのかと思ってよく見ると、上から降ってきたのは、リアをアームで掴んでいるピエール33世だった。



 「おお!2人とも無事だったのか!」


 『カイトさんたちも無事でよかったです!!』


 「ひどい〜〜〜!!」リアは俺の肩に乗ると、いつものようにぽかぽかと殴った。「あたしを置いて行かないで〜〜〜!!」


 「ごめんね!」テンはリアに目線を合わせて謝った。「でも、もう大丈夫!僕たちはもう、君から離れないよ!」


 「ところで、」俺はピエール33世を見上げた。「お前の変身魔法は使えるんだな」


 『ええ。そうですが?』ピエール33世は緑色に光った。


 「レイたちは魔法が使えないみたいなんだが」


 「あれ?……あたしも使えるけど?」



 リアも不思議そうな顔をしている。


 ふとテンとソラの方を見たが、2人とも首を振った。レイは壁にもたれかかって、顔が死んでいた。



 「……てことは、地下に閉じ込められた時に、何らかの原因で魔法が使えなくなったんだな」


 「……でも、この『石』の力は使えるんじゃないかな?」



 テンの方を振り向くと、赤色の『石』を手にしていた――『みずがめ座(アクアリウス)の石』だ。



 「さっき僕の吐血が止まったのって、これのおかげじゃないかなあ?」


 『え!?血を吐いたんですか!?』


 「うん。ちょっとだけね」



 テンは顔を上に向けた。



 「あの毒ガス吸った時、実はかなりクラッときてて、肩車してたレイさんを振り落としそうになってたんだけど、」


 『そ!それは大変です!』


 「……でも何か、すぐ治っちゃったんだよね。だからカイト君はちゃんと支えられて……うーん、振り落とせばよかったかなあ?」


 「……首絞めればよかった」


 『たぶん、テンさんの言うとおりだと思いますよ』ピエール33世はくるっとその場で回った。『『みずがめ座の星霊使い(アクアリウス)』さんには、再生能力がありますし』


 「何かいいな、その能力」


 「呪文の意味がわかる方が、ずっとすごいと思うよ?」



 テンにそう言われて、俺は「そうか?」と首を傾げた。

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