100話 5月23日#11
しばらく廊下を走っていると、奥の方に階段を見つけた。
「上がれるぞ!」
「ちょっ、と……待って……」
振り返ると、レイがぜえはあと荒い息をしていた。
「も、もう疲れた……」
「……え?」俺は目を瞬いた。「お前、そんなに体力なかったっけ……?」
「こういう時、いつもは飛んでたけど、今魔法が使えないから……」
――そういえばこいつ、いつもベッドでゴロゴロしてばっかりだったな。
レイは、素の体力が全然ないらしい。
「レイさん、大丈夫?」テンが駆け寄った。「もしよかったら、僕がおぶってあ……」
「それは俺がやる。俺たちの唯一の『武器』を持ってるのはお前なんだから、お前はそっちを優先してくれ」
「君……レイさんにセクハラしたいの?」
「……お前よりは下心ないと思うが?」
「喧嘩してる場合じゃない……」ソラが、廊下を指さした。「さっきのロボット……来たよ……!」
――本当だ。蜘蛛ロボットが、こっちに向かって来ている。
『ギシギシ……ギシッ!!』
「急いで上の階へ行こう!」俺はテンにレイを押し付けた。「とりあえず、先に行け!」
「了解!」テンは逆に、俺に何かを手渡した。
やはり、蜘蛛ロボットは攻撃ができるようだ。口から俺に向かって、熱線を吐いてきた。発射する前にかわしたけど。
「まったく……何でこんな目に……!」
俺は、テンからもらった『スピンドルスパイダーネット』をロボットに投げつけながらぼやいた。
――見つけたらあの領主、蹴り飛ばしてやる!
上の階は、ロボット天国だった。あちこちで人型ロボットが待ち構え、さまざまな方法で俺たちを攻撃したり、捕縛しようとしたりしてきた。
――もちろん、本気で。
「おい!ちょっと……レイ!頑張れ!!」
「もうダメ……ムリ……」
回転ノコギリを搭載しているロボットが、レイのすぐ後ろまで迫っていた。
「ちょっと、どいて!」
テンは乱暴に俺を押しのけると、また箱の中の何かをロボットの足元に投げつけた。
すると、ロボットは前に向かって派手に転び、ノコギリが床に刺さった。
「あれは……」
「必殺『バナナの皮攻撃』!!」
――バナナの皮だった。
ロボットは、バナナの皮を踏んで転んでいた。
「………………」
「レイさん!僕がいる限り、君には指一本触れさせないからね!」テンはレイの手を握って言った。
「……そういうの、後にしてもらえません?」
後ろから、続々と他のロボットがやって来ていた。
「前からも、来たよ……!」
ソラに言われて、前を振り返った――いるよ、3体も!
「これ、どうしろと!?」
「一番前にいるやつに、足払いかける……!」
「前は任せた!後ろは俺がやる!」
ソラと俺は、ほぼ同時に前後のロボットに足払いをかけた――くそっ!もう殴りたくなかったのに!
ロボットたちは、自分の前のロボットに躓いて総崩れとなり、俺たちはその脇を走り抜けた。
「もう、走れない……」
「今度こそ、僕がおぶってあげる!」
「……勝手にしろ」




