102話 5月23日#13
――それから数分後。
『……というわけで、ワタクシとリアさんは換気ダクトを通ってここまでやって来たわけですが』
ピエール33世はそう言って、アームで天井を指さした。換気口らしきものがある。
「途中であちこちの部屋を見てきたけど、どこもヤバい部屋ばかりだったわ!」
『ちょっと具体的には申し上げにくいのですけどね』
――知りたくもないな、それ。
「ま、それで1つ、作戦があるんだけど♪」
「作戦?」
俺のその言葉を聞き、ピエール33世は白く光りながらくるりとその場で回った。
『名付けて『エネルギー源を止めよう』作戦です!』
「……まんまだな」
『説明いたしますと、この建物の設備は、ほとんど魔力ではなく電力を使っているようなんです』
「ある部屋で、あたしが機械をショートさせちゃって、わかったんだけど♪」
「……具体的に、何するの……?」ソラは首を傾げた。
『えっとですね』ピエール33世が答えた。『ブレーカーを落とせば、電動のもの全てが動かなくなると思うんですよ。だから……』
「ブレーカーを探すのよ!」リアは胸を張った。「この作戦は、あたしが考えたのよ~♪」
俺は、腕を組んで感想を言った。
「荒業だな」
「でも、悪くないね」テンはニコッと笑った。「……とすると、どこにブレーカーがあるのかが問題だけど……」
「たぶん、この階あたりよ♪」と、リアが言った。「ここ、地下1階なんだけど、ブレーカーってだいたい地下1階にない?」
「まあ……そのあたりの階なら点検しやすいからな」
『……というわけで、まずはこの階からさが……!』
「私、ずっとここで座ってていい……?」
レイが、床に座っている、というより完全に寝ていた。
「……そういえばあんた、一体どうしたの?」リアは首を傾げた。
「やる気が出ない上に、散々走らされて、元気がなくなったらしい」
俺が説明している脇で、テンがしゃがんでレイに話しかけた。
「レイさん、大丈夫だよ。僕がついてるから」
――テンって、物腰が柔らかいよな。
「……ね?どうしても無理なら、みんなでここに泊まるから……」
「……おい!」
「はあ……」レイは、ようやく体を起こした。「『脱出ゲーム』なら、もっと頭を使うものにしてほしい……」
『その願い、叶えてあげるよ!』
――急に、どこかから声が聞こえてきた。
『その階から上へ行くには、2つの鍵が必要なんだ……さあ!どこに隠してあるかな?見つけら……』
突然、リアが弓に矢をつがえ、俺の後ろの方に向かって撃った。矢が小さかったのに、「バリバリッ!」と派手な音がした。
――何が起きたのだろうと振り返ると、最初の部屋で見たような『水晶玉』が床に落ちていて、しかも真っ二つに割れていた。中で機械がショートして、火花が散っている。
「くだらなすぎて、腹が立つ」
リアは、頬を膨らませて怒っていた。
「……とりあえず、ブレーカー探そうよ」テンは顎に手を当てた。「僕の直感では、僕たちの魔力は『魔力吸収装置』で吸い取られたと思うんだ」
「……何だ、そりゃ?」
『ある一定範囲内にあるものから魔力を吸い取る電動の機械です』ピエール33世が解説してくれた。『もし、それがみなさんの魔力を吸い取ったのなら、機械を止めればみなさんの魔力が戻るはずです!』
「その推測が正しいかどうか……ブレーカーを落として証明しよう!」
テンはレイの手を取り、ゆっくり引き上げて立ち上がらせた。そして、レイの顔を見ながらウィンクした。
「緊急時は、僕が『お姫様抱っこ』してあげる♪」
「……やることが、どんどん大胆になってないか……?」
「『本気の冗談』は、大胆に言わなくちゃ!」
――何言ってるかよくわからないが……まあ、レイがいいなら許してやるけど。
『石』の力が使えたということは、そもそもピエール33世には『魔力吸収装置(仮)』が効かない可能性があります。




