↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第七章 箱庭コンテストの物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
155/163

第四十話 あなたのおかげです

 大会の喧騒が少しずつ落ち着き始めた頃。

 フローライトの拠点には、穏やかであたたかな空気が流れていた。


 中心にいるのは、五位入賞という快挙を成し遂げたリデル。


【烈火】「五位だぞ五位!スケールでけぇなぁ」

【みぃ子】「ほんとにすごいです……!」

【ゆず】「リデルさんじゃなきゃ、あそこまでは行けなかったよ」

【ココア】「うんうん、誇っていい結果だよ!」


 リデルは少し照れたように微笑みながら、ゆっくりと口を開いた。


【リデル】「今回ね……仲間の大切さを、あらためて学んだの。人って、一人じゃなくて……支え合って生きてるんだって」

【烈火】「急に人生語るじゃん」


 軽口を叩く烈火に、ココアとゆずがくすっと笑う。


【みぃ子】「でも、本当ですよね」

【ゆず】「私たちじゃ、あそこまでは行けなかった」

【ココア】「リデルさんだから、行けたんだよ」


 だが、リデルは首を横に振った。


【リデル】「ううん……私ひとりじゃ無理だった。みんながいたから、行けたんだよ」


 その言葉に、場の空気がやさしく和らぐ。


 その時。


【そる】「おいおい、ケルベロスの牙が主人公ムーブかましてるぞ!」


 一瞬、沈黙。


【ココア】「何〜!?主役は私たちフローライトよ!行くわよ、そる!」

【そる】「がってん姐さん!!」


 二人は勢いよく全体チャットを開いた。


【ココア】「フローライト、週末から本気出すわよー!!」

【そる】「主人公は譲らねぇからなぁ!!」

【マルメン】「いや、主役は俺たち斬々抜断!」

【ペイン】「いや、俺たちrebellionだ」

【シャイン】「いつにも増してカオスってんなぁ」


 拠点の片隅で、その様子を見ていた面々は――


【White】「やれやれ……相変わらずだな、あの二人は」

【むー】「ま、それがいいんですけどね」

【ハルト】「間違いないですね」


 Rainは肩を回し、鋭い視線を向ける。


【Rain】「週末から……バトル再開ですね」

【らいおん】「おうとも!俺たちの得意舞台は戦闘だもんな!」


 その空気を、ぱっと明るくする声が響いた。


【料理長】「まずは腹ごしらえだ!」

【REBORN】「そうそう、祝勝会だよ祝勝会!」


 笑い声が広がる。


 勝敗よりも、順位よりも。

 この場所には、帰ってくる理由があった。


 フローライトは今日も、変わらず賑やかで、

 そして、確かな絆で結ばれていた。



 一方、DARK KING。


 黒王、カノン、BROS、ザン・シャオ、ケリー、スカイ、そしてオニッシュ。

 全員が拠点に集まっていた。


 張りつめていた大会の空気は消え、そこにあるのは静かな余韻と、確かな達成感。


【ケリー】「オニッシュちゃん、おめでとう!」

【ザン・シャオ】「ほんと、みんなで頑張った甲斐があったな」


 オニッシュは少し照れたように頷き、装備に手をかけた。


【オニッシュ】「戦闘装備、戻してくるね」


 だが、その背中を黒王の声が止める。


【黒王】「やめとけ」


 オニッシュが振り返る。


【黒王】「お前は、顔を出してた方が似合ってる」


 一瞬、言葉に詰まる。

 だが、オニッシュはゆっくりと深呼吸し、そして語り始めた。


【オニッシュ】「……今回、箱庭コンテストに挑戦して」


 誰も口を挟まない。

 全員が、ただ静かに耳を傾けていた。


【オニッシュ】「戦う理由とか、居場所とか……いろんなこと、考えた」


 少し間を置き、彼女は続ける。


【オニッシュ】「逃げるために、この名前を使ってた気がする」


 そして――

 メニューを開き、名前の変更を実行する。


《オニッシュ → シオン》


 それは、本名。

 もう配信で知れ渡っている名前。

 今さら隠す必要もない、素の自分。


【カノン】「いいじゃないか」

【BROS】「似合ってる」

【ケリー】「その方が、あなたらしいよ」


 シオンは小さく微笑み、皆を見渡した。


【シオン】「……私、決めたの」


 シオンはある目標を宣言した。

 そして、その覚悟ははっきりと伝わった。


【スカイ】「全力で応援する!」

【BROS】「シオンなら大丈夫だ」

【ザン・シャオ】「背中は任せろ」

【ケリー】「あなたなら、できるよ!」


 最後に、黒王が低く言う。


【黒王】「……殻を破る気になったか」


 その言葉に、シオンの胸が静かに震えた。


 思い出すのは、個人ランク戦テストマッチの日。


 あの日の、あの言葉。


ーーーー


【黒王】「お前が 篝火紫苑 だから、か?」


 黒王は一歩踏み込む。

 全て見抜かれている。

 一つ一つの言葉に、まるで胸を撃ち抜かれたようだった。


【オニッシュ】「あんたには関係ないだろ」

【黒王】「見てらんねぇんだよ。滑稽すぎて」


 剣が、音もなく構えられる。


【黒王】「アホが。自分の殻、破れ」


 黒王の剣が、容赦なくオニッシュを斬り伏せる。


【黒王】「殻から逃げてるうちは、何やっても二流だ」


ーーーー


 シオンは、今の仲間たちを見渡し、まっすぐ黒王を見た。


【シオン】「……あなたのおかげです」


 黒王は何も言わない。

 ただ、わずかに口角を上げただけだった。


 シオンはもう、殻の中にはいない。

 逃げるための名前も、隠すための仮面も、必要なかった。


 ここが、彼女の居場所。

 そしてこれからは、自分の足で進む番だった。


ーーー 第七章 箱庭コンテストの物語 完 ーーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。