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サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第七章 箱庭コンテストの物語

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第三十四話 ポイント発表

 とうとう、ポイント発表の時刻となった。


 特設ロビーに集まるギルドメンバーたちは、誰もが落ち着かない様子で巨大スクリーンを見上げている。


【アメリア】「……始まるわね」

【メリッサ】「はい……」


 29サーバーの発表が、最初に映し出された。


 予選1位通過。


 名前とスコア、そして箱庭の映像が同時に表示される。


『シルキー 8,405ポイント』


 現在のランキング1位に、堂々とその名が刻まれた。


 だが、まだ一人目。比較対象がいない以上、この数字が高いのか低いのか、判断はつかない。


 スクリーンには、シルキーの箱庭が映し出される。


 雪原を基調とした幻想的な街並み。

 光の配置、建物の配置、導線、すべてが計算され尽くしている。


 無駄がない。破綻もない。

 完成度は、明らかに高い。


【さつき】「……すごいですね」

【ゆり】「綺麗……」


 しかし。

 すごいとは思うものの、圧倒されるほどではない。

 それが、正直な感想だった。


 32サーバーロビーの一角では、すでに感想雑談が始まっていた。


【マルメン】「ふーん、8,405か」

【シャイン】「高いっちゃ高いけど、基準がないからなぁ」

【BROS】「ぶっちゃけ、思ったより普通じゃね?」


 BROSの率直すぎる感想に、周囲が苦笑する。


【マルメン】「いや、普通ではないぞ? 完成度は高い」

【たっちゃんパパ】「でも刺さるかって言われると、ちょっと弱いかもな」

【琉韻love】「そうそう。上手いけど、印象に残らない系」


 画面に映る箱庭は、確かに整っている。

 だが、個性や物語性はやや薄い。


【ベディビア】「これが1位通過ってことは、29サーバーは全体的に堅実路線だったのかも」

【すなっち】「安全にまとめた箱庭、という印象だ」

【そる】「32サーバー勢、ワンチャンベスト5総なめあるんじゃね?」


 その言葉に、ロビーの空気がわずかに変わる。

 期待と緊張が、同時に膨らんでいく。

 次の箱庭が表示される。


 予選2位通過。


『アネモネ 7,989ポイント』


 1位のシルキーより、わずかに点数は下がった。


 画面には、青と白を基調とした冬の海辺の街が映し出される。波の音、灯台の光、潮風に揺れる旗。


 雰囲気は良い。

 だが、構成はオーソドックスだった。


【シャイン】「あー、これは安定型だな」

【クルス】「丁寧だが、攻めてはいない」

【そる】「さっきのと同じで、完成度は高いけど記憶に残らん系」

【ココア】「悪くはないんだけどね」


 続いて、29サーバーの3位から5位が次々と発表されていく。


 スコアはいずれも――

 7,000ポイント台前半。


 氷の遺跡、冬の村、雪の降る夜の市場。

 どれもそれなりに作り込まれており、破綻も少ない。


 だが。


 「おお……!」と声が上がるような、圧倒的な箱庭はなかった。


【たっちゃんパパ】「29サーバー、全体的に堅実だな」

【ベディビア】「無難にまとめた感じか」


 スクリーンの表示が切り替わる。

 29サーバーの発表は、これで終了。

 そして次は、30サーバーの番。


【アメリア】「……ここからね」

【メリッサ】「基準が、見えてきました」


 8,400点台が()()ライン。

 7,000点台は()()止まり。


 少しずつ、数字の意味が見えてくる。

 ロビーの空気が、さらに張りつめる。


【そる】「この感じなら、32サーバー、マジでチャンスあるぞ」


 誰もが、まだ自分たちの名前が呼ばれていないことに、少しだけ安心しながら、次の発表を、固唾を飲んで待っていた。


 スクリーンが再び切り替わる。


 次に表示されたのは、30サーバーの予選一位通過者だった。


『White 8,755ポイント』


 ロビーに、わずかなざわめきが走る。


 8,700点台。

 29サーバーの最高点を、はっきりと上回るスコアだ。


 映し出された箱庭は、雪をイメージした白を基調とした幻想的な都市。


 大理石の街並み。空中に浮かぶ回廊。

 光の粒子が、静かに舞っている。


 洗練されていて、無駄がなく、完成度も高い。

 さらに、30サーバーのWhiteは、おしゃれ度ボーナスが入る洗練された装備を身に纏っていた。


【ルミナ】「おお、これは強い」

【マルメン】「8,755は伊達じゃない」

【ノイス】「29とは一段レベルが違う感じだな」


 そのとき。フローライトの集団から、低い声が上がった。


【White】「む……俺と同じ名前だ」

【Gemini】「Whiteさん、いつの間に箱庭勢になったのかと思いましたよw」

【烈火】「紛らわしいなw」

【そる】「あちらのWhiteさんは綺麗な女性で、ウチのWhiteさんはガチムチ重騎士だけどねw」


 32サーバー・フローライト所属の騎士・Whiteは、腕を組みながら画面を見上げる。


【White】「まあ、向こうは向こう。こっちはこっちだ」


 8,755ポイント。


 この数字が、これから越えるべき壁になる。

 ロビーの緊張感は、さらに一段、引き上げられた。

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