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スピリット

ウイルスバスターの準備

 研究室に精霊神がご機嫌で戻ってきた。それは明らかに月の魔力を体中に取り入れたかのように体が光り輝き、鼻歌交じりにスキップを踏んだように戻ってきたからである。

「あら、精霊の赤ちゃんもいるわね。サーシャおめでとう。ハイエルフになったわね。素晴らしいわ。」


精霊使いとしてのエルフはいかに精霊との絆を深めるかによって能力の違いが出てくるのである。


「ありがとうございます。私はこれで一人前の精霊使いになれます。この精霊の子たちは立派に育てます。」

サーシャは深々とあふれんばかりの大粒の涙をこぼし、神の啓示を受けたような慈愛に満ちた笑顔で精霊神のご尊顔を覗うのであった。


精霊神ララは6体の精霊のスピリットに火・水・地・風・雷・空の属性を与えた。

「上位の精霊使いとなったからには、新たな修行をしなければならんぞ!どうじゃ、いっそのことしばらくは我の憑代となり、新たな魔術も覚えてみるというのはどうじゃ。サーシャよ。」


「もったいないお言葉。新たな魔術など、恐れ多いです。エルフは精霊神と一体でございます。精霊神に使っていただけるだけで光栄至極でございます。どうぞご自由にお使いくださいませ。」


精霊神とエルフの会話を遮るようにサラは精霊神が精霊の子たちに属性をあたえたのを質問を始めた。

「すごいすごいすごい。どーやったの!精霊の赤ちゃんの大きさも輝く色も変わったじゃない。なに、なに、なに!どうなってるの!」


精霊神は少し鼻高々になって答えるのであった。

「エルフが精霊の卵というべきスピリット・・・簡単に言うと精霊の赤子に精霊の加護というべき、属性を与えたのじゃ。だがあくまでも基礎となるスキルみたいなものだから、行ないや環境で変化するやもしれんがな!あとは、精霊使いのエルフ次第だがな!」


サラは少し理解が足りないのか、さらに聞いた。

「なんでサーシャが精霊の赤ちゃんを産んだの?」


精霊神は笑いながら答えた。

「このエルフは巫女の修行をしていたみたいだな。精霊神との結び付も多く、魔法の修行もしているみたいだから、我の精霊神の溢れ出した魔力を精霊の赤ちゃんともいえるスピリットを6体も同時に発生させたんじゃぞ。」


サーシャは照れたように答えた。

「エルフはどの種族より精霊との結びつきが強く、魔法も使えるのよ。私も小さい時からエルフの力を正しく使うために修行しているのよ。」


サラは感心しながらサーシャに尋ねるのであった。

「魔法も使えるって羨ましいわ。どんな魔法がつかえるの?サーシャ。」


「白魔術といえばわかるかな?補助魔法とか付与魔法みたいなものよ。」


サーシャは自慢するわけもなく、精霊神を尊敬し続けるようにララを見つめている。サラはすかさず精霊神ララに聞いた。

「巫女って、精霊神様のお言葉を民となるエルフたちに届ける役目だけじゃないの?」


精霊神ララは落ち着き払ったように話した。

「エルフの中には精霊も使えぬ者もいるんじゃ。例えば狩りが得意なエルフは精霊を使役して使うより、魔法と弓やナイフを使ったりとな。だが、巫女となるようなものは精霊や精霊神とのつながりを大事にして大魔法まで修めようとする者もいるんじゃぞ。まーエルフそれぞれといったところだがな!」


サラは感心するようにサーシャの方をみた。

「サーシャは黒魔術も少しは使えるの?ハイエルフになってこれからどうするの?」


その言葉で、ようやく、サーシャはサラの方に顔を向けた。

「私は、尊敬するエルフ第一姫のメアリー様のような勇者の従者になりたいのです。」


精霊神ララはすかさず、サーシャに首を振りながら話した。

「エルフロード!マスターエルフ!のメアリーのことだな。あそこまで修行すると不幸になるぞ!」


サラもメアリーも不思議そうに精霊神ララに問始めた。


「あまりにも修行しすぎると不幸って、どんな修行してるっていうんだ!」

「なんでメアリー様が不幸なんですか!。今でも師匠として私たちに巫女の修行をしてくれるんですよ!」


精霊神ララは腕を組みながら説明を始めた。

「精霊使いのエルフってのは魔法量を増やすにはもってこいの修行なんだよ。しかし、精霊だけではなく、悪霊や妖魔使いみたいにネクロマンサーような大魔導の力まで使役できるエルフの召喚士が次に望むもの・・」


精霊神は最後まで言わなかったが、あくなき魔術の探究者が陥る罠ともいえる大きな力を手にする者は皆、その力に溺れて不幸になると言いたかったのであろう。しかし、空気の読めないサラはすっとぼけたようにサーシャに聞いた。


「サーシャは死んだ人を操ったり、幻獣を呼び出したりはできないの?」

「サラさん。無理なことを言わないでください。幻獣はペットではないんですよ。まして、私は巫女ですよ。死んだ人の声ぐらいは聞けますけど・・・・操ったりは、まだできません。しかし、いつかはメアリー姫のような勇者と共に歩める勇敢なエルフの戦士になりたいんです。憧れなんです!」


「メアリーが憧れか・・・・」

ゆっくりと、研究室の傍らで横になっていたフィルが目を覚ました。サラはフィルが起き上がろうとしたので無理をさせないようにゆっくりと上体を起こすのを手伝った。

「フィル、安心して、呪いは解けたよ!詳しくはオーマおじ様が教えてくれるわ。」


精霊神も莫大な魔力による付加を避けるようにサーシャの中に入っていった。そして、オーマはフィルの体をなでるように手をかざした。

「これで、精神的にも身体的にも疲労はなくなったはずだぞフィル。呪いは解除できたが、精霊神ララがいなかったら難しかったぞ。」


精霊神はフィルにかけられた、呪いの解除方法が変わったことを話した。

「そんなことはないわ。オーマ様という転生天使のお力があればこそだったのよ。実は私もこの呪いについて深く理解してなかったのよ。解呪する前に話したように、魂の状態であれば簡単に呪いを解くことができると思ったんだけど、あまりにも、2つの人生を生きた魂に宿る呪いが特殊だったせいで、心層ダイブをもちいた解呪というかたちで何とか成功したのよ。」


オーマも心層ダイブで変わったことがないかフィルにきいた。

「フィル、何か変わったと感じないか。深層ダイブということでお前の魂の中に入り、浄化をしたせいでお前の心の中をのぞいたことは許してくれ。でも、深層ダイブをもちいらなければ、闇落ちする事態にならずにすんだんだぞ。わかってくれ。」


フィルは不思議そうに手を見つめている。

「オーマ様、精霊神様・・・2つの人生を生きた魂が融合を始めてるといったら不思議に思いますか?なんだか、転生して地球に生まれ変わった気がしないんです。」


オーマは一つ仮説を話した。

「フィル・・・実は心層ダイブでお前の心の壁を透過させてあらゆる闇につながりそうなものも浄化して呪いを解呪したんだが・・・そのとき解ったことがある・・・魔王を倒すほどの勇者は輪廻転生せずに解脱するのが常なんだが、メアリーにかけられた呪いでこの世界に引き留められている状態と理解してくれ。・・・」


「何が言いたいんですかオーマ様。」


「フィル。今からいうことを心の隅にでもとどめておけ。これから、お主は生きたまま、高次元の存在になるかもしれん。・・・・簡単にいうと魂が変化を続ける・・・肉体も必要なくなる存在になる!」


精霊神ララはオーマの言ったことを裏付けるような話をした。

「フィル!あなたは聞いたことあるかわからないけど、無理に解呪した場合はその後、鬼や悪魔にもなりかねなかったんだ。」


フィルは少し怖い顔でうつむきながら尋ねた。

「もしかして・・・・実はこの呪いの解き方についてメアリーは知っていたのでしょうか。今でも私のために呪いを解こうとしているのではないでしょうか?呪いをかけた方もまずい状態にはなりませんか?」


精霊神ララはやさしくフィルの顔に手を添えた。

「呪いをかけた方はただ、会えなくても、忘れずに生きかえり、生きてくれればいいと願っているだけよ。フィル!メアリーに会いに行ってあげてちょうだい。」


フィルは大きく頷きながら肩を揺らしながら涙で伏せていた。


そのときサラはひらめくようように大声で転生天使と精霊神に話し出した。

「サーバーの中の魂も浄化できないかしら!ララ様言ってたじゃない!良い魂と悪い魂とわけて浄化するって!だから、魂を選別するフィルターような分離と魂が融合しないようなコーティングするようなワクチンにた浄化のような作用をつくれないかしら!」


「仮想空間で作用する高次の多重呪文のを組み込んだ魔導具を作る・・・サラどうじゃ仮想空間にNPC自体を魔導士として活躍させればいいのではないか!もし、仮に、ソウルシフターがいればNPCに確保されればいいのではないか!」

転生天使のオーマはある意味ゲーム制作者ばりに仮想空間の構築させれることができるのでサラにアドバイスした。


不思議そうに精霊神ララはサラに聞いた。

「NPC?ってなに?魔導士が仮想空間にいるの?」


サラは当然しってるでしょ?と言わんばかりに驚いた。

「NPCよ!ノンプレイヤーキャラクターよ!仮想世界住人よ!ある意味、仮想世界に送り込める式神ってところよ!魔導士でも妖精でもモンスターでもつくれるわよ!でも、本当にソウルシフターがいたらどうするのよ!」


精霊神ララはサーシャの体の状態で宙に浮かびながらボソボソと話し出した。

「NPC・・・・って魔法も使える心ない人ね・・・そうだ!!何体もつくれるの?」


オーマはわかりきったように答えた。

「仮想空間に入った魂の10倍以上も作れるぞ。なんなら仮想ウイルスバスターとして多重魂結合分離軍でも作れるぞ!しかし、ソウルシフターの弱点が・・・」


ララはガッツポーズをしながら答えた。

「NPCは魂がないのよね!精霊神はスキルを自由に扱えるのよ!ソウルシフターのスキルを封じなくても、スキル自体を回収するようにしてあげれば何もできなくなるのわ!そのような魔法道具をNPCに持たせればいいよ。魔導具を取られても大丈夫!」


サラはすかさずコンピュータをいじり出した。

「ララ様。魔導具はいりませんわ!仮想精霊神NPCと仮想天使NPCの軍隊を送り込ませます。ソウルシフターがいたら確保して研究の材料にして見せますわ!オーマおじ様手伝ってくださいますか。」


フィルは状況がつかめないようだったが、サラは作業しながら、今、おきている仮想空間の危機を教えたのであった。フィルは現状を早急にフィクサーニックに伝えるといって出て行ってしまった。


サラはあきれたようにオーマの顔を見た。

「こんな、真夜中に大丈夫かしら!まー早朝と言い切るかもしれないわねフィルのことだから!」


オーマは手を動かしながら精霊神ララにも何かできるか尋ねたが、仮想空間でのできることがなかったので、別のことを聞き始めた。

「単調なプログラムの打ち込みだから、お願いできることがない・・・もし良ければ!精霊神よ。先ほどのエルフの話しをしてくれ!サーシャも喜ぶぞ!」


精霊神はすこしでも、お役に立てばという気持ちで話し始めた。

「先ほどサーシャは死人と交信できるっていっただろ。実は巫女という職業も派生させればいろいろな術をつかいこなせるんだぞ。」


そういう話から異世界の職業スキルというものを話を始めた。


1.巫女は神との交信という高次元の存在と会話ができるならば、魂との会話は当然できる。

2.死んだ人の魂を肉体以外にも憑代にして憑依させることもできる。

3.精霊以外にも悪魔や妖魔、魔物、幻獣というものまで召喚できるようになる。・・・・


手を動かしながらサラは精霊神ララに聞いた。

「生きている人間の魂も召喚できるの?」


精霊神ララは即答した。

「契約していればね!でも、生きている人間の実体から魂を切り離すなんて死神ぐらいだわ。あくまでも、肉体と繋がったまま魂を呼び出すだけなんだけどね。」


「死神の鎌みたいなものがあれば、魂を分離できるのね!反対に魂をくっつけるものはあるかしら?」


精霊神ララは少し悩みながら答えた。

「精霊神の我々は魂に新たなスキルをつける力はあるわ。それに、ソウルシフターは魂を変えたり、くっつけたり、混ぜたりもできるのよ!」


サラの手が一瞬止まり、オーマの方を向いた。

「作戦変更しましょう。最初に魂を1体、1体確保するの、そしてソウルシフターを確保しましょう。できればソウルシフターのスキルを手に入れましょう。次に、融合した魂を分離するの。もちろんすべての作業はNPCに任せて同時に魂を浄化を平行してね。最後に、魂を元通りに修復しましょう。」


精霊神ララと転生天使オーマは同時に突っ込んだ。

「「魂の修復できるの!!」」


サラはサーバーを指さした。

「バックアップがあるのよね。精霊神が入ってきた時のデータがね。個体それぞれの識別が可能になれば、魂を入ってきた状態に修復すればいいじゃない。でも、浄化で変異した魂は難しいかも!だって、精霊神以外の魂の可能性もあるし・・・悪い魔物なら浄化してあげないとね。テヘ!」


精霊神ララはテヘじゃねえぞ!こら!と思いながらもついでに、スキルもいただけるかもしれないと心の中で怒りながらもガッツポーズした。そして、オーマも浄化でもたらされる変異が、次の厄災につながらないようなBプランともいえるNPCとその他の対策を密かに用意しなければならないと心の中で誓ったのであった。

ぼちぼち更新します。

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