孤独
努と最後の別れを告げて、二日が経った。
あれから、何人か一緒に文字の方のチャットでプレイしてみたが、俺にミスの責任をなすりつけてきたり、やたら自分うまいアピールしてきたり、なかなかいい奴に会えず、今日も適当に募集をかける。
もし、奏や結斗と一緒にプレイできたら、どれだけ良かっただろう...。
突如浮かんできた親友達の顔を慌てて振り払い、画面に向き合う。
なかなか人が入ってこない上に、来たとしても変な奴ばかりなのだから、もう嫌になってしまう。
今回のイベントクエストはデュオが必須だから、ひとりでやるわけにもいかない。
どうしたものか...。
「よう、そういや前から気になってたんだが、それ何のゲームなんだ?」
このタイミングで宮原さんが入ってきた。
なんだか最近、急に馴れ馴れしくなった気がする。
「...。」
「お、懐かしい画面だ。令和の時代でもやってるもんなんだな〜」
...懐かしい?昔やってたってことなのだろうか。
そういえばこのゲーム、世代はだいぶ前だけど、再ブームしてるんだっけ。
「なんだか浮かない顔してるじゃねえか。どうした?」
別に話すことでもない、そう思っていたはずなのに、なんだかひとりで仲間を探しているのもバカバカしくなってきた。
「ただ、いつも一緒にやってた友達ができなくなって、暇してただけ。」
「ほうほう、今回のイベクエはデュオが必須なんだな。」
「まあね...って、何勝手に覗き込んでるんだよ!」
思わず心の声が盛大に出てしまう。
「もう素直じゃないなあ。一緒にやってほしいんだろ?」
「別にそういうわけじゃないけど?そもそも宮原さん上手いのかよ。」
「十数年やってないけど、現役のときはプラチナいってたかな?くらい笑」
プラチナ!?普通に上手くね...?
「で、でも、十数年前ってことは鈍ってるだろ。俺のほうが上手いに決まってる。」
「お?じゃあ試してみればいいじゃんか。」
気づけば、いつのまにか、ゲーム機を持った彼がいる。
...なんか、やる気になってきた。
「フレコ教えて。」
「えーっと、*%&$?237」
画面に出てきたランクイン履歴には、プラチナの経歴や大会の出場記録が...って全国大会!?
あまりの強敵に焦ったが、横でボタンをいじって「あれ?」と首を傾げている様子を見たら、勝てる気がしてきた。
「...勝つ。」
無意識に声に出ていたようで「いいやる気だ。」と口答えしてきたので、「早くキャラ選んでよね。」と言っておいた。
そして、試合開始。
三本勝負のうち、一回はまだ慣れていない様子だったが、二戦目、超高難易度技をコンボで繰り出されて、その後三戦目も圧勝された。
言葉が出ない。強すぎる...。
「まだまだだったな。」
きいいいい!ムカつく!
「次は絶対勝つし!!」
「そろそろ診察だから。特訓しとくといいぞー」
と言い残し、部屋を去っていった。
...次は絶対勝つ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
フレンドコードは適当です笑 縮まる二人の距離...。
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