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僕の愛  作者: R
第一章 あと半年

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7/12

幸せな時間

「ごめん、待った?」

待ち合わせ場所に現れた彼を見て、私は首を横に振った。

「ううん、今来たところ!」

本当は少し前から待っていたけれど、そんなことはどうでもよかった。

久しぶりに会えた。

それだけで、自然と頬が緩んでしまう。

「何食べたい?」

「んー、どうしようかな」

そんな何気ない会話をしながら、二人で歩き出した。

お店に入って注文を済ませると、最近あった出来事を話し始めた。

「そういえば、この前バイト先でね。店長が注文を聞き間違えちゃって」

「店長が?」

「そう! お客さんに別の料理を出しちゃって、慌てて謝ってたんだよ」

「それは大変だね」

「でしょ? でも、そのあと店長がすごく申し訳なさそうにしてて。なんか、こっちまで気まずくなっちゃった」

思い出すと、少しおかしかった。

彼も笑ってくれた。

そんな他愛のない話をしながら、ご飯を食べる。

特別な話なんて何もない。

それでも、こうして一緒に過ごせる時間が好きだった。

学校では実習や課題に追われ、バイトが終われば疲れて帰る毎日。

友達とゆっくり話す時間も、家でのんびり過ごす時間も、最近はあまりなかった。

だからこそ、彼と会える日は楽しみだった。

食事を終えてからも、私たちはしばらく話を続けた。

時計を見ると、思っていたよりも時間が経っていた。

「もうこんな時間か」

彼の言葉につられて、私も時計を見る。

「あ、本当だ」

明日は学校がある。

次の実習に向けた準備もあるし、提出期限が近い課題もまだ終わっていない。

頭の片隅では分かっていた。

でも、もう少しだけ一緒にいたかった。

「もう帰る?」

そう聞かれて、私は少し迷った。

帰らなきゃ。

でも、せっかく会えたのに。

「……もうちょっとだけ、一緒にいたい」

口にすると、彼は嬉しそうに笑った。

その顔を見て、私も笑った。

もう少しだけ。

そう思いながら、私たちはまた他愛のない話を続けた。

家に着いた頃には、すっかり遅い時間になっていた。

「ただいま」

誰もいない部屋に声をかけて、鞄を置く。

楽しかったな。

スマホを手に取ると、彼からメッセージが届いていた。

私は思わず笑って、短い返事を送った。

それから、明日の準備をしようと机に向かった。

机の上には、開きっぱなしの教材。

途中まで書いた課題。

次の実習に向けて、確認しておかなければいけないこともある。

「あ……これ、まだ終わってなかった」

思わず声が漏れた。

提出期限が近い課題だけでも、今日中に進めておきたい。

でも、ひとつ終わらせれば、別の課題が気になる。

学校のことだけを考えていればいいわけじゃない。

バイトのシフトも入れなきゃいけないし、洗濯だってたまっている。

生活するにはお金が必要だ。

だから、バイトも休めない。

でも、バイトばかりしていたら、課題をやる時間がなくなってしまう。

彼と会う時間だって、大切にしたい。

学校も。

バイトも。

彼との時間も。

一人暮らしも。

どれかひとつを諦めたいわけじゃない。

なのに、どうしてこんなに時間が足りないんだろう。

私は椅子に座ったまま、しばらく机の上を見つめていた。

最近は、課題を終わらせるために夜更かしすることも増えていた。

朝は学校へ行き、授業が終わればバイトへ向かう。

帰宅してから課題を進め、眠る時間が遅くなる。

そんな日が続いていた。

それでも、まだ何とかできると思っていた。

明日も朝から学校。

課題はまだ残っている。

「……少しだけ、やろう」

自分に言い聞かせるようにつぶやいて、私はノートを開いた。

眠る時間を少し削れば、きっと何とかなる。

今までも、そうやって乗り越えてきたんだから。

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