↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の愛  作者: R
第一章 あと半年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/11

お腹いっぱい

仕事帰り、いつもの居酒屋に立ち寄った。

カウンターの端に座り、生ビールを頼む。

店内はいつもより客が少なく、店員たちにも少し余裕があるようだった。

「いらっしゃいませ!」

美月がこちらに気づき、軽く会釈をした。

しばらくして、注文したビールが運ばれてくる。

「お待たせしました」

「どうも」

グラスを受け取り、ひと口飲む。

そういえば、前に街で会ったときのことを、まだ謝っていなかった。

「そういえば、この前はごめんね」

「え?」

「ほら、駅の反対側で会ったとき。二人でいたのに、急に声かけちゃったから」

「ああ! 全然気にしてないですよ!」

美月は笑いながら答えた。

「ならよかった」

俺はひと安心して、もうひと口ビールを飲んだ。

ふと思い出して、もう一つ尋ねる。

「そういえば、あの人って彼氏さん?」

「あ、はい。そうです!」

「やっぱり。二人でいたから、そうなのかなって」

「そうなんですよ。それで、この前も一緒に出かけたんですけど……」

美月は思い出したように笑った。

「ご飯食べに行ったんですけど、何食べるか全然決まらなくて。私がパスタって言ったら、彼はラーメンがいいって言うし」

「全然違うもの選んだね(笑)」

「そうなんですよ! お互い譲らなくて、結局ずっと決まらなかったんです」

「それで、どうしたの?」

「二人ともお腹すいちゃって、最後は目についたお店に入りました(笑)」

「最初からそうすればよかったんじゃない?」

「ほんとですよね(笑)。でも、そのあと彼が面白いこと言ってて――」

「あー、惚気ですか?」

「惚気てないです!(笑)」

美月はすぐに言い返した。

「そう? 結構楽しそうに話してたけど」

「いや、そういうんじゃなくて……」

そこまで言って、美月はふと口を閉じた。

「あれ、私、めっちゃしゃべってません?」

「うん、結構しゃべってたね(笑)」

「うわー、やっちゃった。聞かれてもないのに……」

美月は恥ずかしそうに笑い、少しだけ顔を伏せた。

「はい、おかげでお腹いっぱいです。もう帰ろうかな」

「ちょっと! ひどくないですか!(笑)」

美月が笑いながら抗議する。

俺もつられて笑った。

普段なら、注文を聞かれて答えるか、挨拶を交わすくらいだ。

それが今日は、いつもよりずいぶん長く話していた。

「じゃあ、仕事戻りますね」

美月は笑顔のまま、厨房のほうへ戻っていった。

俺は残っていたビールを飲み干し、追加でつまみを頼んだ。

運ばれてきた料理をつまみながら、スマホで明日の予定を確認する。

店内には、時折、店員たちの声が響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。