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僕の愛  作者: R
第一章 あと半年

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2/12

偶然

仕事帰りに立ち寄る居酒屋は、その日も賑わっていた。

カウンターの端に座り、生ビールを頼む。

店内では、店員たちが忙しそうに動き回っていた。

「お待たせしました」

美月がビールを運んできた。

「どうも」

グラスを受け取ると、彼女は軽く頭を下げて、次の仕事へ向かっていった。

初めて見かけた頃に比べると、ずいぶん店にも慣れたようだった。

顔を合わせれば挨拶をする。注文を聞かれれば答える。たまに短い会話を交わすこともある。

俺たちの関係は、そんなものだった。

俺はビールを飲みながら、スマホで翌日の予定を確認した。

しばらくして、追加でつまみを頼む。

美月が注文を取りに来て、伝票に書き込んだ。

「ありがとうございます」

そう言って笑う彼女に、俺は軽くうなずいた。

いつもと変わらない夜だった。

     *

数日後。

その日は、いつもより少し早く仕事が終わった。

まっすぐ帰るにはまだ早い時間だったので、普段はあまり通らない駅の反対側を歩いていた。

飲食店が並ぶ通りに差しかかったとき、見覚えのある女の子が目に入った。

美月だった。

隣には、同年代くらいの男性がいる。

二人で並んで歩きながら、何か話をしていた。

店で見る制服姿とは違う私服姿に、一瞬だけ迷ったが、顔を見ればすぐにわかった。

「あれ、美月ちゃん?」

声をかけると、彼女が振り返った。

「あ、蓮さん!」

少し驚いたあと、笑顔を見せた。

「こんなところで会うんだね」

「ほんとですね!」

いつもの調子で言葉を交わす。

すると、隣にいた男性が美月に顔を向けた。

「知り合い?」

「うん。バイト先の居酒屋のお客さん」

美月がそう答えると、男性は俺のほうを見た。

「ああ、そうなんだ」

男性は短く答え、美月の隣に立ったままだった。

俺も軽く会釈を返す。

「どうも」

「どうも」

男性も会釈をした。

それだけのやり取りだったが、少しだけ空気が変わった気がした。

美月も、どこか気まずそうに二人の顔を見比べている。

そこで、ようやく気づいた。

……ああ、彼氏さんかな。

俺はただ、店で顔を合わせる子を見かけたから声をかけただけだった。

けれど、二人で過ごしていたところに急に話しかけてしまったのは、タイミングが悪かったかもしれない。

「ごめんね、邪魔しちゃって」

俺は二人に軽く頭を下げた。

「じゃあ、気をつけて」

美月が何か言おうとしたようにも見えたが、俺はそのままその場を離れた。

少し歩いたところで、俺は小さくため息をついた。

タイミング、悪かったな。

……次に店で会ったら、軽く謝っておこう。

そう思いながら、俺は家路についた。

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