2-3-4.1 脇話4・素顔を見せて
※脇話は、イヴ/レーヴが完全に知らない話です。
(EP2 第3章4話の後 / 霧島視点です)
俺は―――霧島奏人は、気付いてる。
姪っ子さんが入店してから、
伏見さんが“メロメロ”だってことに。
メロメロなんて死語だよ。
でも伏見さんは40代だ。
だから“メロメロ”で完璧。
草だわ。
なんでそんなことを気にしてるかと言えば……
ちょっと、“空気読んだお願い”をしないといけないからだ。
…うん、今が一番機嫌よさそうだ。
意を決して、伏見さんに近づく。
「伏見さん。ちょっと、ご相談があるんです…」
俺のほうが背が高いけど、
ちょっとかがんで、上目遣い。
男にされても気持ち悪いだけかもしれねーけど。
切れるカードは、全部切る。
「霧島、どうした?」
あー。さすがにちょっと緊張するわ。
でも、誠さんの顔を見たい。
ルール違反だし、わがままだし、
伏見さんに嫌われる可能性だってある。
……,それでも誠さんの顔が見たい。
だから、ルール違反ってわかってるけど言う。
「誠さんの…佐伯さんの、顔が見たいんです」
伏見さんの表情がきゅっと締まる。
「霧島、お前それ…
意味、分かってるよな」
当然。
俺は、戸惑いつつもゆるぎなく頷く。
……内心?本音?
そんなん百パー決まってるでしょ。
もうガチ覚悟決めてますよ。
「……はい」
伏見さんが俺をじっと見る。
たぶん、影を見てるんだろう。
俺、気持ちも欲も完全に全開だろうから、
あんま見ない方が気分マシだと思うよ、伏見さん…?
そう考えていると、
若干萎えたような溜息をついて、
視線をすこし外す伏見さん。
「…霧島、お前の言い分はわかった。
ルールとして駄目だ」
やっぱりか。
ブースに戻ろうと考えた俺を、
伏見さんはジト目で見てきた。
「ここからは、独り言だ…」
小さな小さな声。
立ち去ろうとした俺を引き留めるように、
今の俺の距離で、ぎりぎり聞こえるくらいの。
「本当に、独り言だ。」
伏見さんは、他の仕事を始めた。
「身長は180程度、霧島より少しだけ小さいな。
年齢は30代中ごろ、茶髪でゆるいパーマ。
服装の質と趣味から見ると、
たぶん結構いい会社の課長ポジくらい」
―――これ、誠さんのことだ。
「醤油顔。薄めだ。
霧島ほどの男前じゃないが、清潔感がある。
普通にモテてきただろうな」
伏見さんが、俺をチラッと見る。
これは、もしかして……
「……目は、どんな感じですか…?たれ目ですか…?」
「すこしだけ」
うわ、まじでどストライク。
「いかん、歳かな。
独り言言いながら、仕事してたな」
声のトーンが普段に戻った。
残念ながらここまでらしい。
「霧島、さっきの件…まだ何かあるか?」
伏見さん、ありがとう。
あんたほんと最高です。
「大丈夫です。ありがとうございました」
俺今バンジーできそうだわ。




